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116話 廃墟に巣食う闇


◇◇◇◇◇



ダルムの町の北…



町の外れ、荒くれ者達が住み着くスラム集落を少し抜けた先に、古びた建物があった。


数年前迄は、ドワーフ族の町長が住んでいた

建物だと言うが…今は廃墟となっている…


スラムの外れ者とて、決して近寄らぬそこは

曰くつき…と町民から忌避されていた。

度胸試しと廃墟に近づく者らは、皆帰って来ぬのだ。本当に。


この町の正当な町長も、数年前から突如として行方をくらませており、

冒険者ギルドの職員が、町長代理として務めているが…北の廃墟の件は未だ手を焼いていた。



そんな廃墟に女の声がする…



「まだアーティファクトは見つからないのか?」



苛立ちを抑えようともせず、女は部下を叱りつけていた。



「全く…この数年間…ドワーフには逃げられるわ、町中を探させてもアーティファクトの手掛かりは無いわ……あぁ、もういい!

いっそ、この町の人間を皆殺しにしちゃおうじゃないか!」



女は、そんな恐ろしい事を軽々しく口にする。

…いや、女は本気のようだ。



「しかしながら、主様…町民の抵抗も考えられますが…」



平伏しながら、部下は恐る恐る問う。



「ああ、ギルドってのが厄介か?

…ふん、私に考えがあるんだよ。

一夜にして、一瞬で皆殺しにできる…ね?」



女主の冷酷さに、周囲の部下達は固唾を飲む。


カタリ…


そんな静まり返った場に、小さな物音がした…

女主は鋭く目を向ければ、部下の一人が

廃墟から離れていくのが見えた。



「…は?…逃亡か⁈

…ったく、ふざけるんじゃないわよ!

おい!お前達…奴を追え!

…裏切り者は許さないよ!」



女主の命令は絶対だ。

この部下は…なぜ逃げたのか分からないが

…捕まればどうなるかは、明白だった。


他の部下達は、多少不憫に思いながらも容赦はしない。

裏切り者を捕らえれば褒賞もあるだろう。



「逃すな!追え…!」



一斉に廃墟は騒然とする。

怒号、足音…逃げた者を追跡する騒音…


数十の足音がバタバタと通り過ぎる…


再び、廃墟が静寂を取り戻したところで…

廃墟隅で隠れていた者、

裏切り者…と、呼ばれたその部下は動きだす。


廃墟をスルリと抜け出し、町中へ…!



その者が目指すのは…目指すのは!



◇◇◇◇◇


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