115話 少女達にとっての勇者とは…
◇◇◇◇◇
「もう、出立されるのですか?」
東の地平が仄かに白み始めた頃だ。
まだ空には星が瞬き、輝きを競っている。
「うむ、ダルムの町の捕まった魔王の事…
真相を確かめねばならぬからな」
「そうですか…遠く無いとはいえ、道中どうぞお気をつけください」
「世話になった」
「ご飯美味しかったよ!」
リーン一行は、村長に挨拶を済まし背を向けかけた…そこへ…
「皆さん!」
少女冒険者らが駆けつけた。
寝起き間もないのだろう、寝癖もそのままに。
「もう、出発するんですか?」
「うむ、急ぎでな…
世話になった。養生して傷を治せよ?」
「はい!…ありがとうございます」
そうして、
今度こそリーン達は背を向け歩き出す。
…と。
「あのっ…!
皆さんは…本当に、ただの冒険者なんですか?
…あの時の…魔法は…?」
去っていく背中へ向け
少女が言葉を投げかけた。
少女らは、道中…この事を
何度も聞きかけては口をつぐんでいた。
…あの超絶魔法の事は、口に出してはいけないのではないかと…
彼らは…本当は…何者なのか?
「…さぁのぅ?」
チラリと振り向き、
フィアロアは冷たく反応する。
それをフォローするようにイルが声を掛ける
「今度、白の聖者に会ったら…
お前のファンが居たよって、伝えとくよ」
ニッと、笑ったイルは、フィアロアを背負い
歩き出す。
二人は歩きながら、何か言い合いをしているようだったが…やはり少女らの目には、
仲が良い二人だと映っているようだ。
東の地平から陽が昇り始めた。
「…では、な」
リーンが最後に立ち去る。
銀の美しい髪を光に染めさせ
少女らに微笑み、…そして背を向けた。
「…!!…」
その女神のような美しさに
少女らはもう何度目か?見惚れる。
彼らが何者かは…もう、どうでも良かった。
強く、美しい…命の恩人…
彼らこそが、自分らにとっての勇者だと…
そう確信した瞬間だっただろう。
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