112話 ダルムの隣りの村へ出発
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夜明けと共に一行は出発する。
魔獣オセの背に二人と、リーンに背負われて
一人…負傷した少女冒険者らの道案内で進む。
「いやぁ…道案内のお陰でやっと岩棚から
抜け出せたよ〜」
イルは少女らに感謝し、遠ざかる迷路のような
岩棚を振り返る。
「地元以外の人があの岩棚通るには、地図が必須ですもんね」
トレジャーハンターの少女は、クスリと笑う。
足を痛めているが、今のところ悪化はしていないみたいだ。
岩棚を抜け、暫く歩けば周囲は次第に
植物の伊吹を見てとれるようになった。
緑豊かとまでは、いかないが…所々に植物の存在を感じながら歩けるのは飽きがこなくて良い。
…その後、数刻は…歩き続けただろうか、
陽も大分、頭上に高く上がってきた。
大きめの岩と、植物が風を避け…
多少の日陰になっている場所で、一行は少し昼休憩を取る。
「この地方は日差しが強いよね〜」
そう言ってイルは水筒の水を飲む。
背から下ろしたフィアロアに水筒を譲り、
旅袋から乾燥パンを取り出していた。
「そうですね、乾燥もしていて風もいつも強いんです」
「でもその分、冬は暖かいんですよ!」
神官の少女は、オセから果物を貰いながら
説明し、続けて弓士の少女も付け加える。
長く歩く事になったが、少女らは…特に問題は無さそうだと、
リーンも干し肉を齧りながら安堵していた。
ふとリーンは、視線に気付き目を遣ると
神官の少女は俯き顔を赤らめる。
「どうした?」
リーンが少女を覗き込めば、少女は更に顔を赤らめる。
「い、い、いえ!…な、何でも無いんです」
慌てる神官少女を揶揄うように、トレジャーハンターの少女は、ニヤケる。
「この子、きっとお姉様の銀髪に見惚れてるんですよ〜!推しの白の聖者様と同じ髪色だから」
「あ〜っ!もう、言わなくたっていいじゃない」
神官少女は顔を真っ赤にしながら非難する。
「白の聖者…ねぇ?」
イルやフィアロアは胡乱気な目をし、虚空を見つめるのだった。
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