110話 リーン様は今日も男前
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「大丈夫か?今…応急処置をする」
静かな声で三人の少女らの前に屈んだオセだが…少女らは依然、状況への理解が及ばす
呆然としていた。
リーンもまた、オセに続き少女らの様子を伺う。
「ふむ…致命傷は無さそうだが…
重症の者もいるな」
オセがテキパキと少女らの手当てをするにつれ
…徐々に正気を取り戻していく少女達。
状況を正確に把握していく程、改めて震えが体を覆っていく。
「あ、あ…あの…わ、私達…助かるのですか?」
悪魔の襲来と、それを…突如現れた人物が
圧倒的な力で捩じ伏せ殲滅させた…
その現実離れした光景を前に…
本来なら、救って貰ったと思うべきだが…
本能が恐怖で竦んでしまっていた。
この者らは…安全なのか?と…
しかし…
「大丈夫だ、安心しろ」
リーンが少女らの目を見て、頭を撫でた瞬間…
少女らの恐怖は消え、何か、温かいものに包まれているような心地になる。
「あ…」
聖女のパッシブスキルの発動である。
勇者一行は、何度も何じような場面を経験してきた。
強過ぎる力は民にとっては恐怖を煽るものだ。
その都度、人々の恐怖心を和らげ
温かかな空気にしていく聖女の能力は、
勇者一行には必要不可欠だった。
「さすが、リーン様のカリスマだなぁ」
関心していたイルだったが、
リーンに軽く睨まれる。
「ほれ、呑気にしてないで…
野宿できそうな場所を二人で探してこい」
改めて空を見上げれば、すっかり陽は落ち
宵の口に差し掛かっていた。
イルとフィアロアは、
風を避けられる窪みのある岩棚を探し
今日もまた、焚き火の準備をする。
「しかし…あの悪魔共は…
どうやってやって来たのかのぅ?」
ポツリとフィアロアが呟く。
魔素の影響で誕生する、この世界に存在する魔物と違い…悪魔は魔界に存在する生命体だ。
オセも同様だが、魔界とこの世界とを行き来は基本できない。
無理に空間をこじ開けやって来れたのは、魔王くらいだ。
他の悪魔は基本、召喚術でしか来る事はできず
何者かが…恐らく召喚を使って寄越したのだろう。
「魔王が召喚したのかな?」
イルはそう考えたが…
「いや、召喚術は相当な魔力を消費するものじゃ
弱体化してる今の魔王ではできないのじゃないかのぅ?」
召喚術が得意なフィアロアが言うのであれば、
間違いはないのだろう。
二人は首を捻る。
…確証は誰にも取れない、だが、胸に飛来する予兆は感じる。
この荒野の地に何かが…起き始めているのかもしれない…という事だ。
二人は夜襲に備え、より安全に過ごせる
場所を探す。
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