11話 イルの実力ブッ壊れ
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「た、た、助けてくれぇぇ
死にたくない…死にたくない怖ぇよぅぅ」
情け無い声で泣き叫びながら
這うように、逃げてくるのは…
数刻前…
ギルド待合室で、絡んできた
素行の悪そうな、あの冒険者一味だった。
彼らは満身創痍といった風貌だ。
あちこちに傷を負い、
防具や武器も壊れているようだ。
恐らく…
かの、上位種の魔物に挑み…
破れたのだろう。
「一匹でも…手に負えなかったのに
あんな数いるなんて…」
涙声の彼らが叫びながら去っていく。
「ふむ、イレギュラーの上位種は
複数匹出現したようだな?」
一匹だけでも、かなりレアケースだったが…
複数匹とは…
「この前の…宮廷魔術士が攻略してきた
件と連動してるのかな?」
「さぁ、なぁ…?」
この期に及んで
リーンやイルは、まだ平然としていた。
「やっぱり僕がやりましょうか?
数匹なら、少しは手答えあるかも!」
イルは嬉々として、剣を引き抜き
上位種が出現した場所へ向かって行く。
「まったく…手加減はするのだぞ?」
雑魚デブ初心者冒険者のイル、
無能自称術者のリーン…
巷では、そう呼ばれている
二人だが…
実は…
真の顔は別にある。
ブレイブダンジョンのラスボス?
…勿論それも嘘ではない。
だが…
イルが懐から、
ペンダントを取り出せば、
そのペンダントは淡く発光しだす。
ドワーフ族の頭領で、
リーンとイルのかつての仲間だった
錬金術師ドューイが作った、
その不可思議なペンダント。
その効力は、一日一回だけ
使用者の魂が記憶している
過去最高の能力を一瞬だけ引き出せる
…というものだ。
「これさえ、あれば…
大失敗転生の僕でも…
前世の能力を引き出せるんだ!」
イルがペンダントを掲げれば、
発光したペンダントの光は、イルを飲み込む。
すると…
チビでデブなイルの身体が変化していく。
白金の長い髪を靡かせた、
長身の美貌の青年へと…
「イル!
ペンダントの効果は一瞬だ。気を抜くなよ?」
リーンはイルに警告しながら、
上位種の魔物を見定める。
大コウモリの上位種だ。
しかも複数匹!
光りを纏いながら、
美貌の青年の姿に変化した
イルは、剣を振り下ろす。
「分かってますよ!全力で叩き潰します!」
その剣撃は光速の光となって
大コウモリらに直撃する。
「ちょ…
ちょっと待てーー!!
全力はやめろーーー!!」
リーンは叫んだが、既に遅かった。
美貌の青年(前世のイル)のステータス…
冒険者ランク999
攻撃力…4200
そのイルの全力攻撃が…
上位種の魔物、大コウモリに当たれば…
ドォオオオンンン!!!
ー結果は大惨事になるー
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