108話 悪魔の食事を邪魔する漆黒の獣
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漆黒の獣…オセは、少女らを守るべく、
悪魔と対峙したが…
内心は焦燥していた。
少女らを襲っていた悪魔は、
かなり上位の悪魔だった。
「こんな上位の悪魔…一体何者が召喚を⁈ 」
かなりの強者でなければ、召喚できない筈だ…
「ワタシの食事を邪魔する不届者は誰かと思いきや…魔獣ではないか!我らが同郷の友よ!」
翼の生えた悪魔のその言葉に少女らは戦慄し、
オセは不快感を表した。
「私は人間の主に召喚され、忠誠を誓った!
もはや貴様らの同類などではない!」
「人間如きの犬になったのか?…あぁ、情けない
……なら、死ね!」
「キャアアァ!」
悪魔が翼を扇ぐと同時に竜巻のような
暴風がオセらに襲いかかる。
上位悪魔の実力は、
オセの実力のやや上をいく。
攻撃を躱すだけなら、俊敏なオセには可能だが
少女らの命を守るとなると…
さすがのオセにも難易度が上がった。
オセが盾となり、暴風に耐えているが…
魔力の籠った風の攻撃は、完全には防げず、
少女らにもダメージを与えていった。
「オセ!待たせた!」
そこへ、追いついたリーンが加勢する。
「リーン様!ありがとうございます!
少女らを…お願いできますか?」
「分かった!」
爆速で走って来たリーンは、そのまま少女ら
三人を肩に担ぎ上げ暴風の範囲から離れた。
「あ、ありがとう…?ございます」
ダメージを受けていた少女らは、
意識が飛びそうになりながらも、必死に耐え…
リーンに礼を言うが…
自分らよりも華奢に見える女の子が
三人を肩に担ぎ上げて走ったのは…きっと、
夢でも見たのだろう…と、思い込む。
さて、後方の憂がなくなったオセは、
翼の悪魔と対峙する。
オセの機敏な動きで
何とか立ち回れてはいるが…
相手はオセよりも格上で、更に厄介な事に
物理防御も魔法防御も高く、相性は悪かった。
悪魔に決定的なダメージは中々与えられず…
寧ろ、形勢は押されつつあった。
「くっ…上位悪魔…やはり強い…!
このままでは、押されてしまう…!」
オセが攻めあぐねている、そんな時…
敬愛する主の声がした。
「オセ、すまぬがまた少し力を分けてくれ」
オセの視界に待ち望んだ主の姿が入って来た。
「フィアロア様!!勿論です!
…貴方の…仰せのままに!」
是非もない、主の願いなら全てを受け入れよう
…ましてや、状況を覆す一手となるのなら!
オセは、悪魔の隙をつき…
フィアロアへ一息で近づき、
己のエネルギーを主へ注ぐ。
すると、フィアロアは小さき老人の姿から…
途端に美しい黒髪の青年の姿に変貌を遂げた。
フィアロアは、イルの背から離れ
上空へ登る。
ーー大気を司る風神の、狂気に満ちた
狂乱の宴、凶風を友に舞い降りしは、
龍の御姿の神風なりーー
「む⁈ あの詠唱は…」
上空から朗々と聞こえる詠唱にリーンは即座に反応し、少女らを再度抱え更に後方へ退避する。
「ふん、人間の魔法か?
そんなもの、詠唱中に攻撃すれば…」
悪魔は魔導士の弱点を突くべく、フィアロアへ
向かおうとする…
が、何故か…体が動かない。
「阿保じゃのう?
儂が、その程度の対策しないと思うてか?
詠唱を始めた時から既に貴様らは、
我が術中にあるのじゃ」
「ぐぐぅ…人間如きが…
しかし上級悪魔のワタシに魔法など、
ダメージにもなりはしないぞ!」
「試してみれば良かろう?
そうそう、貴様も暴風の呪を使っていたのぅ?
では、風魔法対決じゃ!」
フィアロアは心から楽しそうに笑みを顔に作り
詠唱呪文を掲げる。
そして、詠唱は成り…
ーー乱舞嵐龍ーー
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