106話 命を賭しての囮【挿絵付き】
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「もし…本当にアイツらが悪魔なら…
私らでは敵わないわ…
伝説の勇者様でも現れてくれない限り…」
そんな少女らの呟きに反応する声がした。
「ほぅ?
…自分らの実力は分かっているのですね」
少女冒険者達の背後から突如声が聞こえた。
その声は低く無機質、凡そ人間の声帯から発せられる音では無かった。
…冒険者らは、振り返らずとも悟る。
悪魔に…気付かれたのだと。
リーダーの少女は、ぎゅっと唇を噛み締め
恐怖でガチガチ鳴りそうになる歯に力を入れる。
「私が囮になる…」
リーダーは静かに、だが有無を言わせない
強い意志を含み、指示を出す。
「私が囮となって、攻撃を仕掛ける。
そのタイミングで皆は逃げて!
一人でもいい…誰かが町まで助けを求められれば…!」
悪魔と戦って、助かる見込みは低い…
だが、
町のギルド迄行って助けを求められれば…
骸くらいは拾って貰えるだろう。
…誰かが悪魔を退治できるかもしれない…
仲間には生き残って欲しい…!
そんな微かな願いを胸に、リーダーである少女は、振り向き様、剣を抜き悪魔に立ち向かう。
「リーダー!!」
「止まるな!逃げろ!」
リーダーの声を聞いたのはそれが最後だった。
仲間は我武者羅に走る。
三人バラバラに走れば、追手も減るだろう…
しかし…
弓士が遂に悪魔に捕まり、目にした先には…
残る二人も同様に…悪魔に捕らえられていた…
悪夢のような光景だった。
「あ、ああ…神様…」
弓士は絶望に打ちひしがれる。
リーダーの、命を賭しての囮も虚しく…
「助け…て…」
弓士の掠れた声は誰への懇願か…?
弱々しい声は風に攫われていった。
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