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105/122

105話 少女達が見た絶望


◇◇◇◇◇



乾いた大地、乾いた風…


陽は傾き、真昼のような暑さは薄らぐも…

ダルムの先にある広大な荒野地帯の環境は過酷だった。


そこにいるのは、四人パーティの冒険者だ。


彼らはダルム地方の出身者である。

地元民ですら、忌避する地に今は仕事で来ていた。


町にある、冒険者ギルドにて依頼を受け、

少し遠出ではあるが、仕事は魔物狩りである。


魔物の討伐自体、難しい事では無かった。

指定の獲物は低級の魔物だ。


しかし、魔物の出現場所が荒野の奥まった場所であり、町から向かうには数日かかる事もあり、依頼難易度としては高めだっただろう。


目的の魔物を仕留め、そろそろ食料や水等、物資も少なくなった機に、

帰還しようかと、四人の冒険者らは考えていた矢先だった。


何も無い筈の荒野の上空…

…だが突如、

その蒼き空が文字通りビリビリと割れていく、

現象に遭遇する。


それだけでも異様だったが、更に…

割れた空間からは、禍々しい臭気を纏った翼の生えた人間らしき存在が現れたのだ。


…十は超える群勢を率いて。



「り、リーダー?あれは…何でしょう?」


「わ、分からないわ…アタシも初めて見る…

だけど…もしかして…あれは…!」



幸い、

冒険者らと謎の群勢との距離は多少離れていた。


冒険者らは岩陰に隠れ、様子を伺う。


仮に謎の群勢が自分らの脅威で無かったにせよ、迂闊に近寄るべきではない。

自分達は仕事の帰路につこうとしているのだ。



「リーダー?アイツら気にはなりますが…

一旦、町へ帰りません?

それから、ギルドへ今回の事を改めて報告しませんか?」



赤毛の少女…弓士は、青ざめているリーダーに切り出す。

妥当な案だと他の仲間らも頷く。



「そ、そう…ね!そうした方がいい…」



いつもは、活発でパーティで一番度胸のあるリーダーの様子の変化に、トレジャーハンターの少女も心配気に伺う。



「リーダー?大丈夫?

アイツらの事で…何か心配あるの?」



皆に不安をさせまいと、リーダーである少女は無理に笑顔を作る。



「大丈夫!とにかく奴らに見つからないように

行きましょう!」



皆が音を立てず、そっと立ち上がろうとすると

…四人目のパーティメンバーである神官少女は、そっと呟く。



「ねぇ?…リーダー?

アイツらって…もしかして悪魔なんじゃない?」



その神官少女の言葉に、皆は思わず悲鳴を上げそうになった。

慌てて飲み込み、しかし一様に顔を青ざめる。



「皆が怖がるかと思って、黙ってたのよ…

確信も無いし…けど、もしかしたら…そうかもしれない…の」



リーダーの様子が常と違っていたのは、そのせいだったのかと皆は納得した。



「悪魔って…確か魔物より強いんだよね?」


「悪魔の階級にもよるわ、けど…知能が高いし、

魔法スキルも使ってくる。

アタシ達には、太刀打ちできない相手よ」



赤毛の弓士の問いに、神官女は冷静に返す。



「ねぇ?神官の聖呪文なら太刀打ちできるんじゃない?」



確かに闇や邪属性の敵には、神聖魔法は有効だ。

しかし…神官女は溜め息を吐く。



「普通の神官が攻撃呪文なんて使えないわよ!

ヒール(少回復)か補助魔法が精々よ」


「神聖魔法とは…ただの御伽噺ね。

伝説の勇者のお一人、白の聖者様が使ってたって話よ」



神官少女に続き、リーダーは補足する。

赤毛の弓士は少し頬を赤くし、ゴメンと口の中で呟く。



「本当…白の聖者様とか…

伝説の勇者様が…現れて助けてくれないかしら?」



トレジャーハンターの少女も深い溜め息を吐き現実逃避だと自笑する。


悪魔と遭遇…それは絶望的な状況を示す。


いかな熟練冒険者といえど、悪魔なぞ…そう出合わす事はない筈だ。


大都市の高名な冒険者らが退治する、一般人には縁遠い事だと思った…


禍々しい群勢の動向を警戒しながら、


無事に帰りたい…

四人の冒険者少女らは、そう祈るのだった。



◇◇◇◇◇


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