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世界解剖部:ナサ


 当然ながら、この世界には大ッッッ変、謎がおおい。

なぜ転生者が憎まれてるようになったのか? その根底は?

なぜ転生者が確保され続けその後の行方が知れないのか?

なぜリンカネーション・レジスタンスなんて組織があるのか?

そんな謎を解決しようと設立されているのが、この『世界解剖部』!

世界の謎に挑むメンバーはたくさん!

真実に踏み込んでくるッ、的なことを言い残し失踪した人もたくさん!

どいつもこいつもアリティ王国関連の謎に足を突っ込んでいたので、

お前は知りすぎた的ノリで消されたのがオチだろうけどね!

ふっふっふ、興味本位で動いていいのは頭だけで体ではないのだよ?

君だって巨乳の女の子を見かけたら『デッカ。』と思うだろうが、

手を伸ばし胸を揉みくちゃにしようものなら殺されちゃうからね。

いくら物事に興奮しても、先のことは見据えなければならない。


「……は、はぁ。」

「うーん、ちゃんと聞いているのかい新人君。

 私の話が長くて飽き飽きしているのかい?

 それとも胸の話で、あの忍者の子を思い出してるのかい?」

「……あれは、反則だと思います。

 デカい割に、あんなに動いて……胸が震えてましたね。文字通り。」


この新人君、ムフフしていた割には冗談が言えるほど冷静のようだ。

冷静であることはこの部署にとっては逸材そのものなのだが、

自分の状況を見つめた上での、この発言なのだろうか。


「……とにかくだ新人君。

 真実を直視しようとして失踪者が出ているような部署に、

 君はどうして入りたいと思ったのか、聞かせてもらってもいいかな?」

「名前的にカッコいいと思ったからです!」

「ほぅ! 部署名を決めたのは私だからな! 分かってるじゃないか!

 いやぁ、まさか名前”だけ”でこんなところに来るわけないよねぇ?

 この部署はデスクワークよりフィールドワークが多いんだぞ?

 ただ書類と”にらめっこ”して、その結果を書き綴るだけじゃぁないんだぞぉ?」

「え!? そ、そうなんですか!?」

「そうとも。あんパンくわえて潜伏とか、魔王域でピクニックとか、

 王国でコスプレしたりで、とにかく情報をかき集めるのがうちの部署だ。」

「……言葉だけだと、なんだか楽しそうですね。」

「もちろん。前世ではできない体験が盛りだくさんだからね!

 だが、その楽しさに浸っているのは王国も同じみたいでねぇ?

 この組織のことを根掘り葉掘り探りまくっているみたいなんだぁ。

 転生者に扮して組織の足取りを掴もうとしてる、なんて情報もあるし。

 最近だと、わざと転生者を逃してその足取りを追っているとかなんとか。」


まぁ、保護部はそれに気づかず仕事が楽になったと呟いているケド。


「アリティ王国とこの組織は対立している以上、

 こっちの情報をホイホイ相手に渡すわけにはいかない。

 もし、君が大事な情報を抱えて王国の連中に捕まろうものなら……。」

「つ、捕まろうものなら……?」


汗を垂らし見つめる新人君に対し私は、

指でピストルを作り、頭を打ち抜くジェスチャーをした。

そしたら彼は苦笑い。『そこまでするのか』という表情だ。

肝は座っていないのかぁ。なんて思っていると、スマホの通知が鳴る。

なにごとかとポケットから取り出してみれば、


「ナサさん! す、すごいことが分かりましたよ!!」


画面には技術部が作った謎AI”ハジメ”がいた。

ファイルを手で抱えてウキウキな表情を浮かべている。


「この世界スマホあるの……?」

「うん、組織内でしか広まっていないけどね。」


新人の多くがツッコむスマホ事情はおいておいて、

私はハジメが持つファイルを指で触り、中身を見る。


「……っ!? こ、これは!?」

「レジスタンスの5月の献立表です!!! 見てください!

 カレーですよカレー!!! ついにカレーが食べれるんですよ!!!!」

「やったカレーだ! って、馬鹿ァ!!!

 カレーはこの前食べたよ!! 通知するほど重要じゃないよ!!!」

「で、でも、ナサさんカレーおいしそうに食べてましたし……。」

「人の好みを優先的に表示してくれるのは嬉しいね!

 おかげで目の前の新人君にカレー好きであることが露見したよ!!」

「カレー好きなんですね。」


やわらかい表情で新人君が見つめて来た。

なにやってくれてんだ、とハジメを睨み怒りをぶつける。


「あはは、ごめんなさい。なんだか怖く感じてしまって……。

 冗談はさておき、アリティ王国潜伏中の方からメッセージです!」

「だから……そういうのがあるならそっちの方を優先してってば……。」


画面の隅から手紙を取り出し、私に差し出してきた。

指で手紙を開封し、その中のメッセージを拝読する。

そして再びハジメを睨みたくなった。


「……むぅ。」

「ど、どうかしたんですか?」

「いや、帰る場所が土になりそうって連絡がきた。」

「えっ。」

「そんでもって、遺言のように情報も送られてきたよ。

 アリティ王国、転生者を実験材料にしてるみたいだ。」

「え”っ”っ”」


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