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リンカネーション・レジスタンス_3


どうしよう。やってしまった。

湧き上がった怒りのマグマのエネルギーがそのまま腕に渡ってしまった。

その結果、幹部だった男は天井に頭を埋めてぶら下がってしまった。

このままだと私は消されてしまう。私はこのままだと消えてしまう。

裏切り者とか反乱分子とかと言われて排除されてしまう。


「わぁ、ギャグ漫画でしかみないやられ方ですね……」

「ッ!?」


顔を上げ横を見ると、そこにはハジメがいた。


「……え、あ、は、ハジメさん……?」

「どうですか! こっちのほうがいいですよね!

 スマホの中じゃぁ窮屈ですし、これでご飯も食べれますから!」


……喜びを表す彼女に、私は手を伸ばした。

すると触れることができた。

形が手でわかる。感触が伝わる。温もりを感じる。

なんだこれは。なんだこの、かわいさの塊は。


「……えーっとぉ……。」

「……アっ。」


私の手は、なぜか彼女の体に触れまくっていた

気づいた時、自分の行動に異常を覚える。

なにをやっているんだろう。こんなことをしている場合じゃない。

現実逃避なんてしてられないのに。


「……ひ、ヒスイさん、大丈夫ですよ。

 能力を封じたのはこの人だけじゃなくて、組織の人みんなですから。」


……? え? いや、まぁ、そうであるならいいのだが。

そんなことができるのだろうか? 誰にも止められなかったものが、

こうも、簡単に????


「もっといえば、組織も100%掌握もしちゃってますね。

 思うがままに食堂のメニューを指定することもできちゃいます。ムフン。」

「そんなにご飯が食べたいんですか……?」

「食べたいですよそりゃぁ! 

 いくらスマホでも脹れるのはバッテリーと容量だけで、苦しくなるだけですし!」


彼女は頬を膨らませて怒っている。

人間らしい……のは元々だったが、もはや目の前に居るのは人間そのものである。

いや、そんなことより____


「……組織を掌握って言いました? そ、そんなのどうやって……」

「え? まぁ、超簡単に言えば、組織全員を人質にしたみたいな……?」

「ひ、人質……?」

「私が入ってたスマホ、実は爆弾でして。」

「ばばば爆弾っ!?」

「はい!しかも自由自在に動く追尾式ですし、

 壊そうとすると半径5mの範囲で爆発しちゃうんですよ~。」


笑顔で話す彼女とは反対に、私は青ざめていた。

それが本当だと言うのなら、さっき投げられたスマホはどうなるというのか。

あらためて落ちているスマホを見ると、画面にヒビが入っている。

アレが爆弾だと思うと、どうしようもない震えが襲いそうである。

いや、というかアレからハジメが出てきた、ということで良いのだろうか。


「ええ、私は確かにあのスマホから出てきましたよ!

 しかも他の人のスマホを介して移動もできちゃうんです!

 まぁ、もとよりテレポートがあるので、意味はありませんがね。」

「……それで、これから、どうするつもり……?」


いろいろと思考が疲れながらも、ハジメに問いかける。


「うーんと、とりあえず新しい異世界を構築中なので、

 そこに新しい人類として君臨させようかな、と思ってます。」

「はい?」

「アリティ王国の人たちは完全に私たちを憎んじゃってますからね。

 だったらもう転生者という概念を排除すれば全部解決になりますし。」

「い、いや、そんなことが……できてしまうんだね……。」

「はい!なにせデウスエクスマキナ的な存在になりましたから!」

「……なにそれ?」

「簡単に言うとですねぇ……私、神になりました!」


なんかもう、めちゃくちゃである。今に始まった話ではないが。

もはや神に等しいことをやっていた幹部を超えてしまったのだから、

神になった、という話を聞いても信じてしまう。信じたくないけど。

私たちを別の世界に送るのは、まぁいいんじゃないかなと思ってしまう。

同じ場所で10年100年と下を向くよりマシに決まってる。


「……でも、アリティ王国に捕まった転生者はどうするの?」

「神様パワーでなんかどうにかできます!」

「ねぇ、どこからそんな力が出るの……?

 どうにかできるのはいいけど、リソースとかいろいろは……。」


そういうとハジメは、目を細めてそっぽを向いてしまった。


「……あの、ハジメさん? どうしたんです?」

「いえ、リソースに関しては極秘事項となっているので、

 答えようとも答えられない、って感じになってるんですよね。」

「……神様パワーに、なにか裏があるんですね?」


そう言うと、ハジメは分かりやすくギクッと体を揺らす。

そしてさらに45度ぐらい私の方から体を背けた。


「……ソ、ソンナコトヨリ、ニモツの準備とかを……ですね……。」

「一つだけ聞かせてもらえます?

 その神様パワーって、この世界に影響とか及ぼしませんよね?」

「はい!それだけは絶対にないです!」


ねじ曲がっていた腰が元に戻り、ハジメは綺麗な笑顔でこちらを向いた。





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