リンカネーション・レジスタンス_1
なにもやる気が起きない。
今生きるこの世界に、何の未練もない。
そうやって死んでやってきたこの世界は、すでに退屈が充満していた。
異世界転生。神から与えられた『力』で自由に生活ができる。
だが、自由とはいえ大抵のやることは決まっている。
よくいえば魔王討伐、あるいは権力闘争、もしくは独裁。
どれもこれも、『力』が無ければできなかったことだ。
死んでから生きる価値を得ると言うのなら、
死ぬ前の自分はどうだっただろうか?
「おいヒスイ、飯はまだか飯は。」
「もう少しで準備ができるので、待ってくださいね。
今日のご飯はトンカツです。じっくりと揚げてますので。」
「わざわざ調理しなくてもいいんだよ!
さっさと能力使わせて持ってこさせろ!!!」
そう言われ、私はいそいそと調理室に向かう。
すでに料理は仕上がっていたので、それらを幹部の元へ運んでいく。
道中、絶望を浮かべる組織のメンバーが歩いていた。
あの忍者姿は保護担当の者だろう。
彼女は救えなかったことに酷く心を打ちひしがれているようだが、
私はその様子を見て安堵していた。
ここに来たって退屈でしかないのだから。
私がいつものように料理を配膳すると、
彼らは黙々と食べ始め、食器のカチャカチャする音だけが鳴る。
食後、いつものように私は皿を片付ける。
そして彼らは、何もない空間で仰向けになり天井を見つめ始めた。
トイレと食事以外は、彼らはまるで昼寝をする赤子のようになっている。
そうなるのも無理もない。
この世界にはもう、やることはないのだ。
1つのゲームソフト、オンラインゲームでも、いずれ終わりはある。
たとえインターネットで繋がっていようとも、飽きればそこで終わりだ。
ゲームクリアの先にあるエンドコンテンツを終え、
ゲームシステムまでにも手を伸ばしやりつくされ、
もはやゲームを書き換えるまでに至ってしまった。
が、それ以上やれることはない。
何度もこの世界は書き換えられ、壊されている。
私はそれを何度も経験して、自分の無価値さを思い知らされる。
目の前で寝ている彼らを傷つけようものなら、私は死ぬだろう。
どれだけ腐っても、彼らは絶対的な力を持ってしまっている。
いま私が心を持ちながら不快に思っているのも、彼らのせいだ。
どれだけ無力であろうとも、どれだけ力を持とうとも、
私たちは、それ以上のことはできない。




