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残酷世界  作者: buutonton!!
21/26

NO,18 「雄大…」


この前、雄大が倒れた。


もう長くないといわれていた。



「ねぇ、ヤドちゃん」


「…」


「どうしてなの…」


「…」


「どうして、雄大はガンなのでしょうか。」


「…」


「って、ヤドカリに言っても無駄か。」


そんな暇つぶしをしていると電話が来た。


愛菜からだった。


「もーしもし」


「雄ちゃんが…雄ちゃんがぁ……」


「は?」


「雄ちゃんが危ないの!」


「何!?」


「早く病院に来て!」


「分かった!」


俺は何が起きたかわからないまま自転車をこぎだした。


信号を待っていると今度は知らない人から電話が来た。


「もしもし?」


「た、卓也か?」


正也からだった。


「今卓也がやばいんだって!何言ってるかわかんねぇけど、


卓也って言っているのは分かるんだ。だから、早く!」


「今行っている!」


待っててくれ雄大!今行くから…



病院に着いた。俺は慌ててエレベーターに乗ろうとしたが、


なかなか来ない。


「くそ!」


俺はエレベーターを諦めて、階段を駆け上がった。


雄大に早く会いたかった。それだけだった。



「バン!」


雄大が病室に入ると、皆くらい顔をしていた。


「雄大…」


「た…たぁ…卓也…」


もう意識が朦朧としていた。


「卓也、ごめん。迷惑かけてごめん…」


「何でお前は悪くないのにお前が謝るんだよ…」


「でも、何だか乗り越えた感じがする…」


「そうだよ。お前は勝ったんだよ。努力は圧勝だよ。」


「そうかな…それと…あ…りがとう…」


それを言い終えると雄大は目を閉じた。



9月12日、午後13時21分、雄大は静かに息を引き取った。




雄大の父親と母親は雄大の遺体に寄り添って静かに泣いていた。


正也も夏美も直太郎も健二も亜由美も泣いていた。


勇太郎は驚き、尻餅をついていた。



愛菜は少し声を出しながら泣いていた。


「置いていかないでって…言ったのにぃ……」


俺は泣いても泣いても涙が止まらなかった。


なぜ人は死ぬのか。


死は怖くて辛くて悲しい。


でも、なぜ雄大でなくてはならないのか。


何故だ何故だ何故だ何故だ



「何でなんだよ!!!」


俺の声は夏なのに昼なのに妙に薄暗い病室で響き、泣き続けた。




何故だ。治るって信じてたのに。


雄大を失ったショックは、かなり大きかった。

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