第15話 「栄光の響きと未来への誓い(全国のステージ)」
全国大会予選の日、早朝の校門に吹く風はひんやりと肌を撫で、澄み切った青空が広がっていた。
佐倉梨奈は胸の鼓動を感じながら、吹奏楽部の仲間たちと共に校庭に集合した。
「みんな、今までの努力を信じて。最高の演奏をしよう」
梨奈の声に部員たちの目は真剣そのものだった。
顧問の箕輪菜々緒先生が深呼吸をしながら背中を押す。
「あなたたちの音を、会場いっぱいに響かせて」
飛行機に乗り込み、全国の舞台へと向かう彼らの胸には期待と緊張が交錯していた。
機内では家族からのメッセージが次々と届き、梨奈は目に涙を浮かべた。
会場に到着すると、そこには全国から集まった強豪校の熱気が満ちていた。
緊張の中、梨奈たちは舞台裏で最後の音合わせを行い、集中力を高めていく。
「いよいよだね」颯太がそっとつぶやく。
「うん、私たちならできる」
そして、彼女たちの名前が呼ばれ、ステージのスポットライトが一斉に浴びせられた。
「奏でるのは、私たちの物語」
一音一音が心を揺さぶり、会場を包み込む。
楽器たちが息を合わせ、まるで一つの生き物のように躍動した。
演奏が終わった瞬間、会場は静まり返った。
審査員席のリーダーがゆっくりと立ち上がり、マイクを手に取った。
「ただいまの演奏、素晴らしかったです。皆さんの熱意と技術が、聴く者すべてに伝わりました」
会場の空気が一層張り詰める。
「全国大会の金賞は……」
会場の誰もが息を飲み、固唾を呑んで見守る中、審査員リーダーははっきりと名前を呼んだ。
「東京都立東雲高校 吹奏楽部」
歓声と拍手が沸き起こり、梨奈たちは喜びに震えた。
涙を流しながら仲間と抱き合い、家族の声援を思い出して胸が熱くなった。
「私たち、やったんだ……!」
彼女たちの努力と絆が、ついに最高の形で実を結んだ瞬間だった。
歓声が鳴り止まない会場の中、佐倉梨奈は大きく息を吸い込み、ステージの中央で深くお辞儀をした。
「ありがとうございます……」
隣にいる霧島颯太や仲間たちの顔も、涙と笑顔で輝いている。
長い時間を共に過ごしてきた彼らの絆が、今、確かな証となって刻まれた。
審査員席からは温かい拍手が続き、観客席の多くも立ち上がって祝福の拍手を送っていた。
吹奏楽部の部長として梨奈は、まるで夢のような瞬間に心が震えた。
その夜、ホテルのロビーで家族や顧問の菜々緒先生と再会した梨奈は、涙を抑えきれなかった。
「おめでとう、梨奈。あなたの努力がみんなを動かしたのよ」
母・紗南の言葉が胸に響く。
父の龍太もにこやかに頷きながら言った。
「この勝利は、家族みんなの誇りだ。これからも一緒に歩もう」
姉・梨乃茅も笑顔で梨奈を抱きしめ、
「あなたの背中を見て、私も頑張れるよ」
翌日、梨奈は全国大会本戦へ向けた更なる練習に気持ちを切り替えた。
「これが終わりじゃない。ここからが、本当の勝負」
吹奏楽部の仲間と共に未来への一歩を踏み出す梨奈の瞳には、確かな希望が宿っていた。
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