表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おむつの日  作者: 華点
1/1

前編

 中学二年生。良くも悪くも青春真っ盛り。残念ながら悪くもとついてしまうのは自分の中でどこか日常生活に満足できていないからかもしれない。

 大人しい性格だと自分でもわかっていた。だからこそ、何も実行に移せず、平凡な日常が日常にしかならない。だがそれのおかげで良いこともある。今クラスでは少し変わったいじめが流行している。

「はいかなちゃん明日一日おむつの日ね」

「え?」

 放課後、クラスの女子に唐突に告げられる。もちろん話しかけてきたのはクラスのいじめっ子の代表。当然反論ができるわけがない。

 今クラスで流行っているいじめの内容は「クラスでランダムに選ばれた人が1日トイレを使わせてもらえず、おむつで過ごさなくてはならない」というもの。幸いまだおむつを溢れさせた人がいないので学校側は把握できず、思春期真っ盛りで親にも相談できないことから少し前からいじめっ子が始めた。バレないことをいいことに、最近では一日に服数人が言われることがある。

 断ると何をされるか分からないため、ただおむつを穿いて一日トイレを使えないだけなら我慢するという感じでみんなが黙って受け入れていた。

「拒否権とかないから。明日一日トイレ使っちゃダメだからね。使えるのはおむつの交換だけだから。いい?」

「は、はい・・・・・・」

「じゃあそういうことでよろしく。みんなの前でおもらししちゃダメだからね?じゃあ早速だけど一緒に来てくれる?」

 当然断れるわけがなく席を立ち、黙ってそのいじめっ子について行く。その囲いの女の子たちに周りを囲まれ、絶対に逃げられない状態にされる。

 今までの被害に遭ってきたクラスの子から色々と情報が回ってきていたが、前日にどこかに連れられるというのは聞いたことがなく、この後何をされるのかさっぱり分からない。

 たどり着いたのは校舎の端にある、使う人が少ないトイレ。掃除も終わっているため床はまだ濡れている。なんとなくトイレにつれて行かれるのは直感で察していたが、いったい何をするというのか。今までに感じたことがないほどの恐怖に襲われ、足が震えてくる。

 トイレの中に入り、扉を閉められる。個室ではなく、手洗い用の洗面台の前だ。

「あのさ、せっかくだし今からおむつ穿いてくれない?ほら、サイズとかよくわかんないからさ」

 明らかに目が笑っている。サイズ確認が目的ではないことくらいはわかる。

後ろの別の人がカバンからおむつを取り出すのが分かった。

 目の前に出されたのはいかにも女の子用なピンク色のハートなどが描かれたかわいらしいもの。ショーツに比べても分厚い。それにしても赤ちゃん用のおむつなど穿けるのだろうかと思うが他の子も穿いていたのだろうということを考えると穿けないことはないのだろう。

「ほら、穿いて見せてよ」

「・・・・・・」

 言い返すことなどできない。小さく震える手でおむつを受け取り、個室の方に向かおうとする。

「どこ行くの?」

 肩をがっしりと捕まれる。

「あっ・・・履き替えるから個室に行こうと・・・・・・」

「別にここで穿き替えたらいいじゃん。女の子しかいないし問題ないでしょ?」

 周りを囲まれ、完全に身動きが取れない状態になる。小さく深呼吸をして覚悟を決め、スカートの下からショーツにゆっくりと手を伸ばす。見えないようにショーツを脱いで両足を順番に通し、完全に体から離れた水色のショーツを手の中で小さく丸めポケットの中へと転がす。

 そしておむつを受け取り、片足を通してもう片側を伸ばし、脚を通してゆっくりと引き上げる。

 サイズとしては特に問題はなく、普段穿いているショーツよりもゆったりしているような感じがする。ごわごわするのとおむつが分厚いせいでおしりが膨らんでいないか心配になる。これで明日一日過ごさなければいけないのかと思うと自信が無くなってくる。

 もしも本当にトイレに行きたくなったらおむつにしなくてはいけないのだろう。本当にこれがちゃんと吸収してくれるのかも心配だった。おむつを穿くのはもう覚えていないくらい昔のことだ

「どう?穿けた?見せてよ」

 さすがにある程度隠すことができるおむつを穿くだけの行為とは違い、穿いているおむつを見せるのはさすがに強い抵抗があった。

 嫌とは言いだせないためしばらく黙っていると不機嫌そうにリーダー格の女子が言った。

「ほら、早く」

 手が震え、ゆっくりとスカートの端をつまみ、片手でゆっくりとスカートを持ち上げていく。顔は下を向き、顔が熱い。

「遅いってば!」

 そういうとさらに一歩詰め寄られ、スカートを持たれてスカートを強制的に持ち上げられる。穿いたばかりのピンク色のおむつが露になり、思わずスカートから手を離して顔を隠してしまう。

「ちゃんと穿けてる?」

 そういうとおむつを上に持ち上げられる。まるで赤ちゃんがお母さんにおむつを穿かされるように。最後に股の下からおむつが密着しているか確かめるために持ち上げられる。

「・・・・・・まあこれでいいや。明日ちゃんとおむつ穿いてきてね」

 さらに追加で同じおむつを渡される。柄が違うが同じサイズのおむつだ。それを受け取るとリーダー格の女子とその囲いの女の子はトイレを出て行く。ついに自分に回ってきたのだという絶望感も大きいが、おむつをどうすればいいのかという問題も同時に沸いてくる。

 脱力感に襲われながらもおむつを脱ぎ、元穿いていたショーツに穿き戻す。おむつはバレないようにお腹に隠し、トイレの外に誰もいないことを確認してトイレを出る。

 (明日おむつかあ・・・・・・水分とらないようにしなきゃ・・・・・・)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ