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恨み合い

ブックマーク&感想&評価ありがとうございます!

とても励みになっておりますので、これからも頑張らせていただきます(ง •̀ω•́)ง


「私が、貴女を助ける…?何故?」


鉄格子の向こう側から手を伸ばして、姫は私のドレスを掴んだ。

貴女がお兄ちゃんを殺したも同然なのに。

貴女のせいで前回の世界が滅んだと言っても過言ではないのに?

貴女はこの世界で突然私を殺したのに…?

何を言っているんだろう。


「め、メリィは優しいから…」


「その愛称を呼ばないで貰えます?とても不愉快です」


「ご、ごめん…。そんなに怒らないでよ、怖いよ」


怒るな?

この人、裁判であれだけの罪を読み上げられたのに未だに自覚がないのかな?

自分が犯した罪を、人にどれだけ迷惑をかけたのかを、どれだけの人の運命が狂ったのかを。

ガルイムは自覚があっただけある意味マシだったのかもしれない。


「私が貴女に会いに来るのはこれが最期だから」


「っ!嫌!!死にたくない!助けてよ!嫌だ!アンタ聖女でしょう!?こんなこと許されると思って…」


パシンッ。

軽快な音が牢獄に響いた。

本来囚人への危害は許されないことだが、残念ながらここはシュミール王国ではなく私が作った牢獄。

罪を咎める者はいない。

それに平手打ちくらいなら許される、と思う。


「貴女はいい加減ご自分の罪を見つめ直して反省すべきです。どれだけの人が貴女の犠牲になったのか、昨日の裁判でお分かりになりませんか?」


「…の、せに」


「あのドラゴンだって、貴女がガルイムたちを連れていかなければ生まれることもなかったのですよ!」


「うるさいうるさい!!モブが何人死んだって私に関係ない!私は悪くない!私は幸せになるためにこの世界に来たのに、なんで私がこんなことになってんの!」


まともな頭をしていないらしい。

あの美しく微笑んで誰よりも気高いと思っていた姫様が、今はまるで癇癪をおこした子どもだ。

頭を掻き乱しながら理解し難い言葉を混ぜて妄言を吐き散らす。

話にならない。


「今日の午後、貴女はシュミール王国へ移送されます。もちろん私と兄も同行しますので、逃げられるとは思わないこと」


逃げたとしても貴女の罪は王国だけでなく、近隣諸国にも伝えられているから逃げ場などありませんが。

貴女の1番の犠牲者は国民だと言うことに、なんの憂いも感じていない王女がおかしい。

もう1人の私にこの人へと復讐を任されたけれど、この人は何をしたら1番苦しむんだろう。


「メリィ!絶対に許さないから!次回は絶対お前を私の道具として使い潰してやる!!」


「それはそれでいいんじゃないですかね。でも、私はある意味この世界の爆弾らしいので、使い方はご注意下さいね」


もう1人の私があちらの世界に帰ってから、裁判が始まるまでの1週間ほど私は眠っていたらしい。

その間私が見ていた夢は恐らく向こうの私が見た景色そのもの。

だから私も知っている。

私自身が破滅の引き金だということを。

まぁ親切に教えてあげるなんてことしないけどね。


「お兄ちゃんを殺した怨みは一生忘れないのは私も同じ気持ちです。死んでも許すものですか。それでは残り少ない時間の中で、できるだけ反省してください」


そう言って私は牢屋を後にする。

私が使っていた黒霧は、前世の私が暴走された力の1部を使用していたようで。

彼女がいなくなってからは使えなくなってしまった。

だけど勇者と魔王が死闘を繰り広げる展開はなさそうだから、私が戦うこともたぶんない。

今は癒しの力だけがあればそれでよかった。


「あ、性格悪いって思われそうだけど良いこと思いついた。フェリックスに協力してもらお」


そう思い立って私は学園の中をフェリックスを探す。

ドラゴンの被害はかなり大きく、暗黒の地はほとんどが焼け野原になってしまっていた。

何重にもかけられた魔法のおかげで学園と魔王城だけは無事だったけれど、住めるような場所はほとんど残っていない。


「あ」


気配を頼りに探していると、フェリックスとフェルが並んで話しているのが見えた。

まだぎこちない雰囲気だけど2人で話せるほどには成長したらしい。


「兄妹水入らずを邪魔して悪いのだけど、フェリックスにお願いがあるんです」


「メルフィさま!!!」


私の声を聞くや否や、満面の笑みで抱きついてくるフェル。

それを少し羨ましそうな複雑な表情で見ているフェリックスは、甘えられたいらしい。

目が覚めた次の日に約束通り2人に話す機会を設けてから、フェリックスは頑張っているのだ。


「仲間に危険が及ばなければなんなりと」


「そのお仲間を少し借りたいの」


私はニコリと笑って見せる。

2人を引き合わせたその日、フェリックスはフェルにフェンリルとして生活するか?と聞いた。

フェルは怯えた様子だったけれど、私の傍から離れたくないと言い返した。

本当に可愛い…じゃなかった、本当にフェルはそれでいいのだろうか。


「フェルは魔王さまに連れてきてもらって、メルフィさまに生きる意味を教えてもらったんですんよ!父親とか兄とか急に言われても、フェルは知ったこっちゃねぇんです!」


とりあえず抱きしめておいた。

フェリックスにはフェリックスの事情があったと私は分かっていても、そんなことはフェルには関係ない。

冷たい態度を取っていたのは事実だし、今の今まで放置していたのはフェリックスだ。

仲直りをするにはその分だけ、時間がかかるだろう。


「フェル1つ私からお願い」


「へい!なんでしょう!」


「私はね、魔王様にもシルディアにもフェルにも幸せになって欲しい。もちろん他の人たちも」


私の言葉の意味がイマイチ理解できないようで、フェルは可愛らしく小首を傾げる。

散々助けてくれたディガーにも、何だかんだ理解してくれているリーシャにも。

そして、不器用なフェリックスにも。

前世では死んでしまった皆に幸せになって欲しい。


「フェリックスのこと、無視はしないであげて」


「…無視、はしない、フェルもされてやだったから。良くないですもん」


その言葉に引っ掛かりを覚えたけれど、たぶん無視をしたのはフェリックスではないだろう。

私の侍女として何度かフェリックスとかおをあわせていたけれど、フェリックスは常にフェルを見ていた。

フェルがその眼力に萎縮していたのも知っている。


「フェルはいい子ね。大好き」


「フェルも!メルフィさまが大好き!」


そんな会話をして少しずつ、話すようになっている。

私とお兄ちゃんほどじゃなくていいから、もう少し仲良くできるといいね。

あと5話で終わる予定です。

ここまでありがとうございます!

あと少しお付き合い下さい!

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