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洞窟探索 シルディア3

ブックマーク&感想&評価ありがとうございます!

とても励みになっておりますので、これからも頑張らせていただきます(ง •̀ω•́)ง

コツン、と何かが額に当たる感覚で目を覚ました。

目の前は真っ暗です。

私は一体何をしていたんでしたっけ?


「………?いった!!?」


体を起こそうと腕を地面につけた所で、左手首に激痛が走りました。

その痛みでようやく思い出します。

そうだ、私たちは地割れに巻き込まれてどこかへ落ちてしまったんでした!


「フェルちゃん!メイベル様!」


2人の名前を叫んで、辺りを魔法で照らします。

すぐ近くに青紫の髪が見えて、私は落下した石の上を這うように近づきました。

再び魔力をメイベル様に流して、正しくない場所を修正していきます。


「うっ…、シルディアさん?」


「よかった、大丈夫ですか?」


メイベル様は体の調子を確認して、キョロキョロと辺りを見回しました。

そして近くの一際大きな落石に近づいて、私を手招きします。


「シルディアさん!フェルちゃんいた!」


「フェルちゃん!」


フェルちゃんもかすり傷はいっぱいありましたが、大きな怪我はなくすぐに治療は終わりました。

ようやく3人揃ったところで、私は自らの左手首に魔法をかけます。

ここはどこだろうと思って地図を開きました。

皆さんの位置はそんなに変わっていません。

まだ誰も卵にたどり着いていないようです。


「シルディアさん、ここなんだろう?」


地図を覗き込んできたメイベル様が指さすのは、卵のある位置の少し横の方にある空間。

底には箱のようなものが描かれています。

今私たちがいる位置から卵の方へ向かう途中にある場所のようでした。


「箱、ですね」


「ドラゴンって財宝を集めるのが好きって聞いたことがあるんだけど、もしかして宝物庫だったりするかな?」


「盗賊の考えですよ!」


「冒険者ってそうやって生活してるんだよ」


なんですと!?

確かに詳しくは知りませんが、冒険者って一歩間違えたら盗賊なのですか…?

暗黒の地にはそういった職業の方は来ないので、よく知りませんでした。

なんだか少しだけガッカリです。


「フェルちゃんは俺が背負うから、少し危険だけど先導をお願いしていいかな?」


「はい」


そうして私たちは歩き出しました。

フェルちゃんはぐっすりと眠っているだけみたいなので、今のところ問題は無いはずです。

卵の場所へいち早く辿り着いて、卵を壊したらメルフィ様に褒めて貰えるでしょうか。


「俺の知ってるメルフィは、すごく我慢強いんだ。我慢しすぎて辛いんじゃないかて心配してるんだけど、実際どうかな?」


確かにメルフィ様は我慢強くて頑張り屋さんです。

仕事に根を詰めすぎて、お茶を持って強制的に休憩を取らせることもしばしば。

メイベル様に対するほんの僅かな違和感は随分と消えてしまいました。

彼が兄だと言うのは疑いようのない事実で、心配するのも当然です。


「確かに、頑張り屋さんすぎると思います。自分が犠牲になればいいや、て思ってるところはありますね。私も皆も心配しているのでやめてほしいです」


ただ誰も強く言えない。

魔王様くらいじゃないと誰も強く言えないのです。

その魔王様も私と同じように邪魔はしてくれますが、やめろとは言えないみたいでした。

メルフィ様が頑張るのには理由があるみたいで、時々怖い顔をしている時があります。


「そっか…。魔王がメルフィに何をさせてるのか知ってる?」


「魔王様が?」


「違うの?魔王が何かをさせてて、メルフィが頑張ってるんじゃないの?」


「たぶん違うと思いますよ。メルフィ様は自分で考えて、自分で行動されている気がします」


メイベル様は驚いた顔をします。

メルフィ様はいつも真剣に考え込んでいました。

それは魔王様に会っていようとなかろうと。

むしろメルフィ様の行動に魔王様が付き合っているような雰囲気すら感じます。

あの『魔女』としての振る舞いは、メルフィ様の本心を知らない人たちの前限定ですし…。


「じゃあ、どうして魔王はメルフィを連れて…」


ボソリと呟かれたメイベル様の言葉は上手く聞き取れませんでした。

メイベル様はきっと悪い人じゃないです。

演技だとしても、メルフィ様を心配するのは本心だと私の勘が訴えていますから。

けれど一応魔王様側にいる私としては敵になります。

だから伝える情報を考えなくてはなりません。


「うーん、メルフィさまぁ…むにゃむにゃ」


不意にフェルちゃんがそんな寝言を言いました。

幸せそうにへらぁ、と笑う姿を見てメイベル様も私も和みます。

そうだ、どうせメルフィ様の話をするのなら、もっと楽しい話にしましょう!


「私はメルフィ様に助けられてから5年間お側にいるんです。メルフィ様は頑張り屋ですけど、結構おっちょこちょいなところもありますよね?」


「そこは変わってないんだ!そうそう、昔一緒に畑仕事してる時に子猫がいてね。可愛いけれど邪魔になっちゃうから、後で使う桶を取りに行くついでにメルフィが子猫を連れていったんだ」


メイベル様は懐かしそうに微笑んで、思い出話をしてくれました。

子猫と小さなメルフィ様はきっととても可愛らしいでしょうね。


「そして、戻ってきたと思ったら桶に5匹の子猫入れて持ってきてさぁ、兄弟いっぱいいたー!て嬉しそうに笑うんだ」


天使!

あぁ是非とも生で見てみたかった。

でも、私のメルフィ様への信仰心でいくらでも想像してやるんです!!


「結局その桶は子猫の寝床になっちゃって、もう1回バケツを取りに行く羽目になったんだよ。可愛かったなぁ、どっちも」


「それはとても可愛らしいお話ですね。私はつい最近の話なのですが、珍しくハーブティーが飲みたいと仰ったのですぐにお持ちしたんです」


普段はミルクティーなのに珍しいな、と思いました。

よっぽど疲れているのかと思って、リラックス効果のあるハーブを軽く調合してすぐにお持ちしたんです。

猫舌のメルフィ様が火傷しないように少しだけぬるめに入れて。


「そして一口飲んでものすごくむせられて、私の方が驚きました。メルフィ様は普段ミルクティーがお好きなんですけど、ハーブティーを頼んだのにミルクティーだと思って飲んだらしくて…」


クスクスと思わず笑ってしまった。

噎せてお茶をガン見しながら「あ、私がハーブティー頼んだった、間違えた」って驚いていたんです。

そういうおっちょこちょいなところも含めて、メルフィ様は可愛らしくて敬愛してしまいますよ。


「フェル!フェルも、メルフィさまのかわいいとこ言えるですよ!」


突然起きたフェルちゃんが、私たちのメルフィ様談議に参加してきました。

そうして暫くメルフィ様について語り合っていると、段々と剣呑な雰囲気へと変わっていきます。


「俺はメルフィのお兄ちゃんだから、1番メルフィのこと知ってる!」


「いいえ!例え兄だとしても、暗黒の地に赴いてからのメルフィ様は私がお世話してきました!私が1番知っています!」


「うー!フェルもいっぱい知っとるでごわす!!」


そんな低レベルな言い争いをしているうちに私たちは例の宝物庫の前に来ていたのですが、メルフィ様の1番の座を語る方が大事でした。

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