洞窟探索 シルディア1
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メルフィ様がディガー様を連れて人間の町へ出かけた時、私たち2人はお留守番をさせられていました。
もちろん非戦闘員で、人間であるのに人間に詳しくない私が置いていかれるのも分かります。
フェルちゃんも可愛いですが、非戦闘員なので危険だと判断したのでしょう。
「シルディアくらい治癒魔法に特化してる子がいたら、もう少し楽だったかもしれないね」
メルフィ様は魔力をスッカラカンにして、あの町から帰ってきました。
生き物は誰しも魔力を必ず持っていて、それが無くなってしまうと死んでしまうのに。
メルフィ様は困った顔で笑っていましたが、笑える話ではありません。
もう少しでメルフィ様が死ぬ可能性だって大いにあったのです。
「フェルちゃん、どうしたらついていけると思う?」
今回どこに行くかは聞いていません。
でも、話の雰囲気からとても危険なところだと言うのは察しました。
だから私はフェルちゃんと2人で頭を悩ませます。
「むむむぅ…」
フェルちゃんも頭をひねってくれていますが、これと言っていい案は思い浮かびません。
そんな話をしている時、突然真横から声が聞こえて飛び上がりました。
「私がどうにかしてあげましょうか?」
それはルルフ侍女長。
前回も今回も御者としてメルフィ様に頼られているにっくき相手。
間違えました、尊敬すべき黒猫のお姉様。
「きゃあ!?」
「わわわぁぁ!?」
思わず手を構えたことをお許しください。
ルルフ侍女長は私の目指すべきお方であり、永遠のライバルのような気がしてならないのです。
味方にして最大の敵なのです!
「荷馬車の後ろに詰めてだったら可能だけど、どうします?乗り心地は最悪でしょうが」
私はフェルちゃんと顔を合わせてお願いしました。
ある程度考慮してくれてはいましたが、座席じゃないその場所に長時間いるのはなかなか大変です。
他の誰にも気づかれないように魔法の込められた石で私たちの存在は隠されていると、ルルフ侍女長は言いました。
何とかバレずに道のりを終え、やっとメルフィ様に会えたというのに。
「ここは、どこ?」
転移魔法のようなものに巻き込まれて、吐きそうなくらい振り回されてフェルちゃんと共に居たのは真っ暗な洞窟。
それも前か後ろにしか道がない不明なその場所。
うっすらと光るキノコのおかげで、そばに居るのがフェルちゃんだと分かります。
給仕服の内側に入れていた地図を開いて確認しました。
道が薄緑に光って、全部で10個の小さな炎のようなものが動いています。
「フェルちゃん、フェルちゃん、起きてください」
横で白目を向いているフェルちゃんに回復魔法をかけて揺さぶり起こします。
ようやく目を覚ましたフェルちゃんはキョロキョロと辺りを見回して、驚いた顔をしていました。
そんなフェルちゃんに先程の地図を見せます。
「この炎、なんだと思いますか?」
ピクピクと犬耳が動いて、考えてくれる。
不機嫌そうに眉を寄せる仕草でさえ、可愛いと思ってしまうのは重症かもしれません。
時々触らせてくれる可愛い耳がこんな緊急時にも癒しを与えてくれるので、偉大かもしれないと再認識。
なんて考えている場合ではありませんでした。
メルフィ様と早く合流しなければ。
「シルディ姉様、ここ、これが噂の卵じゃないですんか?」
「確かに!楕円の丸が金色に描かれていますね。皆さんの目的がこれなら、とりあえずここを目指しましょう」
死にかけの大怪我くらいなら私が治せます。
死んでしまっても半日以内なら蘇生できるはず。
よく分からないこの場所に留まるより、なんとかして卵の場所まで行った方が合流確率は上がりますよね?
地図が手元にあるのはいいのですが、自分たちの現在地が分かりません。
なによりこの地図上を動く炎は一体…?
「シルディ姉様!なんかすごい音するまる!」
全身の毛を逆立てたフェルちゃんが抱きついてきます。
私はそれを受け止めつつ、振動と音の正体に構えようと辺りを警戒しました。
けれど、どうやら私たちのいる場所とは違う場所で何かが起きているようで、特に何かに襲われるような心配はなさそうです。
「あ!」
ふと、目を落とした地図上で2つの炎がすごい勢いで移動していきます。
卵とは逆方向にある空洞に2つの炎は移動して行って、ようやく止まったと思ったら、片方の炎が凄く弱々しくなりました。
これはもしかして、ここにいる皆さんを表している?
「フェルちゃん、ちょっとここにいてくださいね」
私はフェルちゃんをじっとさせて、少しだけフェルちゃんから距離を取りました。
すると地図上の炎が動きます。
2つ並んでいた炎が、1つだけ動いたのです。
「やっぱり!フェルちゃんこっちに来てください!」
タタタッと駆け寄ってきたフェルちゃんに合わせて、もう1つの炎が動きました。
仮説は正しいようで、少し自信が付きます。
今動いた2つの炎が、私たち。
勢いよく動いた2つの炎。
ゆっくりと動く2つの炎が、2つずつ。
1つで動いている炎が2つ。
「私たちは6人でここに入ったはずなのに、あと4つは一体誰なんでしょうか…?」
そして気づきました。
単独で行動している炎が、私たちの間近にあること。
これが味方の誰かなら心強いのですが、メルフィ様が警戒しているお姫様たちの誰かなら私たちはピンチかも知れません。
「フェルちゃん、正面から誰か来るようなのですが、誰か分かったりしますか?」
「ん〜〜、ん?メルフィさま?」
「メルフィ様!?」
フェルちゃんの言葉に嬉しくなって、私はフェルちゃんの腕を掴んで駆け出しました。
単独でこのような暗いところを歩かれて、さぞ心細かったでしょうね。
もう大丈夫です。
私とフェルちゃんが今貴女のお側へ参ります!!
「メル!フィ…さ、ま?」
「あ、やっと人に出会えた」
「やっぱり!メルフィさまに似た匂いだです!」
角を曲がった先にいたのはメルフィ様とよく似た顔立ちの、青年でした。




