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洞窟探索 メルフィ1

ブックマーク&感想&評価ありがとうございます!

とても励みになっておりますので、これからも頑張らせていただきます(ง •̀ω•́)ง

大きな渦巻きに巻き込まれたような衝撃。

上下左右の感覚がなくなり脳が揺らされる。

グルグルと回されるような感覚の後、最後に襲ってきたのは浮遊感。


「きゃあ!?」


内蔵が浮くような感覚に悲鳴をあげて、硬い地面に倒れ込んだ。

浮遊感は一瞬だったから、大した高さから落ちた訳では無いらしい。

回されたことによる吐き気と頭痛に顔を顰めて、ゆっくりと周りを見回すとすぐ近くにフェリックスが見えた。


「フェリックス、大丈夫ですか?」


「……問題ない」


短く返ってきた返答にひとまず胸を撫で下ろす。

ふぅー、と1度深呼吸をして自らに回復魔法をかけた。

頭痛と吐き気から解放されて立ち上がり、フェリックスにも同じく回復魔法をかける。

外傷はないようなので、やはり吐き気と頭痛に襲われていたんだろう。


「立てますか?」


「問題ない」


あ、耳と尻尾出てる。

獣人の本来の姿はディガーのような人型の獣。

だが獣人たちは変化が出来れば出来るほど、精神力も魔力も強い証明になるので人間と相違ない姿でいる。

ワータイガーたちは腕っぷしに重きを置いているので、見た目はどうでもいいらしい。


「それにしてもここ、どこなんでしょう」


私たちがいる空間は、入口らしきものが2つあるだけ。

胸元に入れていた地図を開こうとして、地図はシルディアに預けていたことを思い出す。

こんな形でバラバラになることはさすがに想定していなかった。

シルディアとフェルは大丈夫かな…。


「両方から風が吹いてきている」


「ほんとだ。フェリックス、どちらか心当たりのある匂いはありますか?」


フェリックスは答えない。

不思議に思って見上げれば、じっとこちらを見つめている。

あぁもしかして、なんで協力しなくちゃいけないんだ、と思われているのだろうか。

フェリックスは特段私を否定しないが、肯定的でないことも知っている。


「心当たりのある匂いとは、誰のことを指しているんだ?」


「えっ、出来れば皆と合流しないな、と思いまして…」


「今回の目的は敵の手に渡る前にドラゴンの卵を破壊することなのだろう?なら、先に聞くべきことがあるんじゃないのか」


そう言われてゾクッと悪寒が走る。

あれから数日しか経っていないが、あの2人ももうここに来ているのだろうか。

フェリックスの口振りから恐らくそうなのだと思う。


「来ているんですね」


「恐らくな。先程の転移のところでもうっすらと他人の匂いがしていたが、ここに来てより一層濃くなった。1時間ほど前までここにいたようだ」


グッと拳を握りしめる。

フェリックスはあの2人と出会ったことがないから、確実性はない。

けれど、このタイミングで他人の匂いがするというのは決定的だと思う。


「左からは遠いがお前の従者たちの匂い。右からは知らない人間の匂いがする」


フェルとシルディアは一緒にいるんだろうか。

だとしてもあの2人だけじゃこの洞窟は危険すぎる。

助けないと…。


「左へ行くのか?」


「だって、あの子たちを助けないと…」


戦闘力のない2人には危険だ。

こんなところで死なせるために今まで側に置いていたわけじゃない。

洞窟に連れていくって判断したのは私で、2人の命の保障は私がするべきだ。

けれど、フェリックスは気に食わないようだ。

確かにフェルはフェンリル族にとっては汚点になるのかもしれないけれど、フェルに罪はないのに。


「フェリックスが来たくないのなら私一人で行くので大丈夫ですよ。フェリックスは通常の任務通り卵を破壊しに行ってください」


そう言ってもフェリックスの顔は不満気だ。

こうしている時間がもったいない。

そう思ってフェリックスを置いて左へ進もうとした時、手首を掴まれて強引に振り向かせられる。


「お前の事は魔王様より護るように仰せつかっている。お前が左へ進むのなら、俺はお前に付いて行く」


怒ったような口調でまくし立てられ、私は驚いて息を呑んだ。

今まで特に何も思わなかったけれど、フェリックスも十分綺麗な顔立ちをしている。

翡翠の瞳と薄い金色が良く似合う美丈夫。


「ただ、あの2人は自らの意思でここに来たんだろ。それを優先して卵を先に取られたら、お前はどう責任をとるんだ?」


「それ、は…」


前世でも、シルディアが戦っているところを見たことは無い。

回復役なのだから当然、後方にいたからだ。

しかし多少のハプニングに慌てることなく、冷静に対応していたことは覚えている。

シルディアとフェルを信じていいのか。


「………」


見捨てるわけじゃない。

信じて私はやるべき事を優先する。

あの2人ならばきっと大丈夫だと信じて。


「右に、行きましょう」


あの人たちにこれ以上命を弄ぶような真似をさせるものですか。

いざとなったらラスティとの約束を破ってでも刺し違えて、私は魔族すらも手玉にとった悪女として命を捧げればいい。

私1人の犠牲で済むのなら…。


『アイツらを殺すのが目的なんだから。その後のことなんて考えちゃダメよ』


そんな囁きが聞こえる。

ハッピーエンドを迎えたいなんて思わない。

それは私の中のワタシが強く思っている事だろう。

私たちは幸せになりたいんじゃなくて、復讐を遂げたいのだから。


「殺してやる」


小さく呟いたその言葉。

それを自分の耳で聞いた途端、私の心は決意する。

今度こそ決着をつける時だ。

姫も、ガルイムも許さない。

私の敵、世界の敵、私から大切なものを奪った人達。


『絶対に殺してやるんだから」

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