ロベディスト洞窟
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暗黒の地から洞窟まではほんの3日ほどの距離。
それをさらにラスティのためのダークユニコーンたちで駆け抜ければ、6時間で着いてしまった。
道中リーシャとディガーが何度も喧嘩していたが、今はもう落ち着いている。
「ここが噂の洞窟、ねぇ。パッと見た感じは平凡なところって感じだけど」
「裏ルートがあるんです。そこから先がとんでもないんだそうですよ」
リーシャが簡単な探知魔法で洞窟内を探る。
ダークユニコーンたちは御者をしてくれたルルフに任せ、人間に見つからないように少し離れた場所に隠れてもらった。
そうして人間が使う入口とは別の入口の前に立ち、いざ入ろうとした時、フェリックスが無言で私の行く手を遮る。
「フェリックス?」
クイッと顎を動かして、何事かとそちらを見ると草むらがガサッと音を立てて揺れた。
誰かいる。
町長からもらった地図は洞窟内の道を詳しく描いていて、この入口は窪んだ隙間のようなところにあるので普通は気づかない。
そしてこのルートからでなくては裏ルートの入口に繋がっていないはずなのだ。
「おい!そこにいるのは誰だ!」
ディガーが怒鳴る。
そこで風向きが変わって、こちらが風下になった。
フェリックス、ディガーの2人がピクリと反応する。
ディガーの顔から剣呑さが消え、フェリックスの顔には剣呑さが増した。
そんな相手は…。
「メルフィさまぁ!」
「申し訳ございません!メルフィ様!」
飛び出してきたのはフェルとシルディアだった。
連れてくる予定などもちろんなく、行ってきますの挨拶をしようと思っていたらどこにも見当たらなかった2人。
時間がなかったので後のことは魔王にお願いしてここに来たというのに、何故ここにいるのか。
「何故ここにいるの?というか、どうやって…」
「嫌な予感がしたんです!あ、えと、私のこの予感って、時々当たるものですから、どうしても私もご一緒したかったんです…」
シルディアのこの勘は予知と言うには曖昧だが、無視をするには当たりやすい。
前世でもあの女は大きな流れは知っていたが、小さな危険には疎かった。
だから、シルディアがいなければもっと大怪我を負ったり、敵の罠にハマったりしていただろう。
「その予感というのは、どういったものか分かる?」
怒られると思ったのだろう。
バツの悪そうな顔をしていたシルディアは、私の質問に呆気に取られたような顔をした。
うーん、と少し考えて蜂蜜色の瞳がこちらを見る。
「行かないとすごくすごく後悔するような…、何か大事なものをなくしてしまうような…」
前世で魔王城に乗り込む時にもシルディアは悪い予感の話をしていた。
「最後まで油断しない方がいいです」と。
魔王を倒して、それを最後だと思った。
今にして思えばあれは倒したあとの事を指していたのだと思う。
ガルイムがお兄ちゃんを殺すこと、もしくは魔王が私の中に潜んで倒しきれてないこと。
どちらにせよ彼女の予感は当たる。
「分かった。あなたたち2人とも絶対に私から離れないでね」
「おい、マジか」
リーシャとフェリックスは黙って見守ってくれていたが、私の判断にディガーは納得がいかないようだ。
逆の立場なら私だって止める。
戦闘力のない2人はただの足手まといになるからだ。
「ディガー、私の判断ですから私が責任を取ります」
私が引かないと察してくれたのだろう。
ディガーはそれで口を噤んだ。
黙ってくれてはいるものの、後ろでは呆れ顔のリーシャとフェルを睨みつけるフェリックスがいて、そのフェルは縮こまってしまっている。
こうして少し大所帯になった私たちは洞窟の中へと足を踏み入れた。
「見れば見るほど中級レベルの洞窟ね」
「…」
「確かに、ここがそんな大層な場所には見えねぇな」
知能のないモンスターがちょこまかと襲ってきて、それを軽々となぎ倒していく3族長。
リーシャは指先1つで消し飛ばし、ディガーは持ち前の腕力で殴り飛ばし、フェリックスは腰に携えた剣で斬りつける。
私は黒霧をフェルとシルディアの腕に巻き付け、何かあってもすぐに対応できるようにしていた。
「メルフィ様、この先みたいです」
役に立ちたいと懇願されたので、地図はシルディアに任せることにした。
シルディアが指し示す先は、少しだけ開けた地下水のある空間。
光る水晶が幻想的な洞窟の美しさを醸し出している。
水が溜まっている場所を除けばそんなに多くは立っていられないくらいの場所。
私は当たりを見回して1番大きな水晶に近づく。
光源としてはほとんど発行していない薄暗い水晶。
その水晶に魔力を流して、グッと押し込んだ。
「開いた」
ゴゴゴ、と地響きのような音が響いて、大きな水晶が1人でに動き出して道ができる。
そして私は、1歩後ずさった。
見つけたという感動よりも、その道から漂ってくる異様な空気に背筋が凍る。
これが裏ルート。
「さぁ、行きましょうか」
絞り出した声は僅かに震えていた。
けれどそれを揶揄う様な人はここにはいない。
全員がそれなりに聡い人達だから、この異様な空気を感じ取っているのだ。
それでも意を決して歩を進めると、真っ暗な一本道が続いている。
リーシャが魔法で小さな灯りを付けてくれて、ゆっくりと進んだ。
「風の音が近くなってきてんな」
ディガーがそう言ってすぐに広い空間にでた。
先程の入口よりも少し広いそこは天井が高いらしく、空気が僅かに渦巻いている。
リーシャに光を強くしてもらって辺りを照らすと、足元に何やら溝があるのが見えた。
そして、ここまで一本道だったはずなのに進むべき道がどこにも無い。
地図を見れば、この場所にバツ印がつけられている。
「道を間違えた?」
「でも、地図には確かにバツ印がついていますよ」
「その地図がそもそも信憑性あるのかしら?」
みんなで地図を見下ろして、首を傾げたり辺りを見回したりしてみる。
何か仕掛けがあるのかもしれない。
そう思いキョロキョロとしていると、不意にフェルが声を上げた。
「フェル?」
「メルフィさまメルフィさま、ここ、なんか違和感がありまする!」
フェルが指さしたのはただの土壁。
けれどよく見ると手のひらほどの楕円形の岩が、随分と綺麗な形をしていることに気がついた。
自然に出来たようには見えない綺麗な曲線。
「おりゃ」
カチッ。
「「ディガー!?」」
何を思ったのか唐突にディガーがそれを押す。
そしてそれはやはり何かのスイッチだったようだ。
私とリーシャが同時に叫んで、足元の溝が光だす。
これは、魔法陣!?
よく見れば足元の溝の模様は古代に使われていた魔法陣によく似ている。
私は黒霧を全員に巻き付けて、何とかしなくてはと焦った。
「メルフィ様!」
「メルフィさま!」
「フェル!シルディア!私から離っ……!?」
輝きが目を開けられないほど強くなって、私たちは全員光に飲み込まれた。
前作の『精霊に愛されたお姫様たちは、精霊以外にも愛される』も宜しかったらご拝読くださいませ。
完結済です!
と、突然告知しました。




