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昔馴染みのガルイム

ブックマーク&感想&評価ありがとうございます!

とても励みになっておりますので、これからも頑張らせていただきます(ง •̀ω•́)ง

滅びかけた世界から舞い戻ってきた時、自分はまだ路地で仕事を始める前だった。

年長者に教えてもらわずとも、既に色々知っているガルイムはすぐに動く。

そうして1ヶ月ほど経って、前回との相違点に気づいた。


「城にいるのはメイベルだけなのか」


メリィの情報が無さすぎる。

そしてあの女、姫も前回と違う動きをしていた。

アイツも覚えてやがるのか?

けど、大した魔法の使えない姫じゃそんなこと出来るはずが無いと判断する。


「もっとよく調べねぇと」


けれど調べても調べてもメルフィの情報はなかなか出てこない。

ほんの数ヶ月で手下も手に入れ、かなり広範囲に耳を広げたがそれでも見つからなかった。

そして手に入れたのは、魔族の討伐を率いた姫が魔族に襲われて怪我を負ったらしいということだけ。

けれどガルイムはその事件に興味をそそられた。


「魔女のような女が突然現れた」


魔女なんて呼ばれる魔族は前回にはいない。

この違和感が正解に近い可能性がある。

そうだ、よく考えて見れば前回過去を戻したのは魔王なのだ。

その事を考える。

討伐の際にトドメを刺せずメリィの体内に潜んでいて、あのタイミングで復活し、過去に戻した。


「俺たちパーティへの復讐か?それとも魔王として再臨するつもりか?」


口に出してみても、それはしっくりこない。

昔からこういった勘は当たるほうだ。

俺がまだ知らない情報だと考えよう。

なんらかの理由で過去に戻った魔王は、今のところ大きな動きをしていない。

そうして人間側じゃなく魔王側にも耳を伸ばす。

けれど人間と違って魔族はそれぞれの結束力が強い。


「ようやく手がかりを掴めたぞ魔女!」


結局情報を手にするまであの魔女出現の情報から半年も経ってしまった。

魔族を懐柔するのは難しく、そもそも手下として管理しずらい。

天才の俺だから出来たことだけど、魔族を手に入れて

誰にも気づかれない奴隷紋を完成させた。

それを刻印した魔族に次の魔族を連れてきてもらい、また次へ次へと、ようやく情報を得られる人物にまでたどり着いた頃には半年。


「やっぱりメリィが魔女なんだ。でも、なんでそんなことになったんだ?」


ついでに調べていた姫に聞くのが1番早いと思って連絡をつけた。

記憶があるのならすぐにでも俺に連絡を寄越すはずだから、記憶はないと思ってていいだろう。

あの女が持っている情報は、あの御伽噺のような世界の話だけだ。

お前が知らないことが起きているなら俺が教えてやる、そんな風に呼びつければ姫は直ぐに現れる。


「情報屋ガルイム。わざわざ来てやったわ」


「お久しぶりだな、姫様。と言ったところで覚えてくれてねぇんだろう?」


馴れ馴れしく話しかければ、俺の首に刃物が突きつけられる。

護衛として連れてきたらしい男だ。

魔力の波長から恐らく兵長だろう。

片腕がないことも前回とは違うな。


「久しぶり…?アンタなんの話してるの?」


「やっぱ覚えてねぇのは予想通りか」


「知ってることを全部吐きなさい!いい加減頭にきてんのよ!シルディアまで取られてありえない!」


取り繕う気が無いのか、そんな余裕すら無くなったのか、なんにせよ怒りに歪んだ顔は好みである。

その顔をもっと歪ませてやりてぇなぁ。


「ほとんどのことをメリィに先回りされて、面白くねぇって顔してんな」


「アンタの嗜虐趣味に付き合う気はないのよ!知ってんならさっさと話しなさい」


「おいおい、情報屋からタダで情報をもらおうってのかよ?」


再び兵長が刃に力を込める。

あー、地味にいてぇんだからやめろよ。

消し飛ばしてやろうかクソッタレ。

人を消し飛ばすなんて俺にとっては造作もないことだ。

相手が魔術師でないなら、尚更のこと。


「何が望みなの?」


思わず口角が上がる。

交渉慣れしていない馬鹿な女だ。

本当につまらねぇ。

でもまぁ、話が通じるだけマシか。


「お姫様がこの世界で出会ってからのメリィの情報と交換だ。姫様から話すのが条件」


「チッ、何様のつもりなの?ほんっとムカつく」


そう言いながら姫は兵長の腕を下げさせる。

交渉は成立ということだ。

そう言いつつ姫は事の顛末を説明しだす。

シナリオのことから会話は始まり、自分自身はシナリオに名前すら出てこないモブであること。

モブだからこそ自由に動けると思って、聖女のメルフィに会いに行けば思い通りにならずに殺したこと。

けど死んでなくて、真っ黒い霧に包まれて、笑いながら刃向かってきたこと。


「その後はアンタも知ってんじゃない?メイベルだけ連れて帰って、魔獣討伐の時にも襲われたの!あの魔女に!!」


「へー、それだけ聞けりゃ満足だ。じゃあなんでメルフィや俺が先の未来を知ってるのかと言うと、俺たちは1度終わったこの世界から舞い戻ってきたんだよ」


「は?私は異世界転生だけど、アンタたちは普通に転生してきたってこと?どうやって?そんなシナリオ知らない!」


「それ以降はまた別のチップだな」


姫が言葉にならないくらい憤ってこちらを睨みつけてくる。

後ろの護衛たちが俺を捕まえようとそれぞれ武器を手にするが、姫はそれを制した。

どんな武器を用意しようと俺に適わないことは既に分かっているらしい。

馬鹿だが、理解するだけの能力はある。


「あぁもう!対価はなんだっていいわ!私に出来ることならね!全部教えなさい!!」


あぁ、ありがとう。

その権利が欲しかった。

こんなに早くそれを言ってくれるとは思わなかったが、時間を無駄にせず済んで有難い。

俺は自分の人差し指の先に方陣を作る。


「口よりこっちの方が早いだろう。俺視点なのは許してくれよ?あの時は自分の記憶だけを持ってくるだけで、時間切れになったんだ」


「なにを……っ!?」


人差し指を押し付けるように姫の額に突き立てた。

そうして魔法陣が発動する。

俺の感情を知られちゃ困るから、視覚と聴覚の記憶だけを共有してやるよ。

記憶は脳だけじゃなくて魂にも刻まれるから、全ては思い出せなくてもキッカケくらいにはなるだろう。


「きゃぁぁ!?あ、あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」


姫が悲鳴をあげる。

数十年分の記憶を強制的に植え付けたんだ。

そりゃあ楽なわけがない。


「貴様!姫様に何をした!」


「望み通り教えてやっただけさ。2、3日寝込むことになるかもしれんが、これが1番手っ取り早いさ」


顔を隠した女が姫を支えて呼びかけているが、絶叫する姫には届かない。

俺の記憶をキッカケに、前世をこいつが思い出せば再び俺が楽になる。

そして楽しい楽しい玩具(メリィ)は俺のもんだ。


「はっ、あぁ、あああ!!そういうこと!」


少しだけ、本気で驚いた。

20年分も無いとはいえ、それだけの記憶が一気に流れ込めば気絶したっておかしくない。

正気を保っていられるのか。


「何それ何それ何それ、じゃあアイツ早く殺さないとやばいじゃん。私のことめっちゃ恨んでるんでしょ、たかがメリィの分際で!!!」


そう言ってわしゃわしゃと掻きむしる。

混乱の中にいるようだがやはり正気だ。

コイツが異世界から来たっていうのは魔力の波長からしても可能性は大きかったが、こいつは本当に信じるに値するかもしれねぇ。


「ぁぁぁぁあああ!!!ほんっと!最悪!」


そう言って彼女は、寄り添う侍女を突き飛ばした。

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