勇者のパーティ ガルイム
今回はショッキングな表現を含んでおりますので、苦手な方はお控えください。
要約すればガルイムは人を虐めるのが好きなクソ野郎ということです。
スラム街で生まれた赤髪の赤ん坊。
3歳の頃その母親は突然いなくなる。
幼かったガルイムは、スラム街の子ども仲間と共に過ごすようになった。
「がういむお腹すいたぁ」
年長者が親の代わりに世話をしてくれ、ガルイムも成長すれば面倒を見る立場になっていく。
ガルイムは初め食うために盗み、生きるために戦い、育ててもらったように自分も下を育てていた。
幼いガルイムは自分よりさらに幼い子どもたちを見ていて、守ってやらなくちゃいけないという正義感に溢れる。
「今日はあったかいスープだぞ」
「わぁ!がういうありがおー!」
腹の足しにならないような汚いスープを啜って、頬を紅色に染める子どもたちを見てほっとする。
そして、自分の中の葛藤に涎を垂らしそうだった。
この細くて枝のような手を思い切り踏みつけたら、この子どもはどんな声で鳴くんだろう。
頼りきっている俺に酷い目に合わされたら、こいつらはどうするんだろう。
「がういう?」
「ほら、こぼしそうになってるぞ」
ガルイムは幼い頃から常にそう言った葛藤があった。
正義感と破壊衝動。
それらは体の成長に合わせて、心の奥底で徐々に大きく膨れていった。
そうして決定的な日が訪れる。
「…おかあ、さん?」
スラム街は情報の宝庫だ。
ガルイムもそういった情報を売る仕事をし始める。
そんな中たまたま赤い髪の貴族の噂を耳にして、特に深く考えずにある屋敷に近づいた。
そこにはお目当ての赤い髪の貴族の女性がいて、ガルイムは思わず呟いてしまう。
「母さんだと?おい!どういうことだ!」
「ち、違うんです!あ、あんな子し……」
知らないと言おうとしたのだろう。
ガルイムの母親はそばに居たその男の腕を縋るように
掴んだ。
けれど、言葉はそれ以上出てこない。
彼女は息子を突き放す言葉を言えなかった。
頭に血が昇ったらしい男は持っていた杖で母親を殴り倒し、倒れた彼女にさらに暴力を浴びせる。
「や、やめて!やめてよ!」
「うるっせぇ!スラムのゴミの分際で俺に触るんじゃない!汚らわしい!!」
母親を庇おうとしたガルイムに強烈な蹴りが入る。
息が止まるような苦しさの中でガルイムは地面に蹲って、同じく蹲る母親を見た。
目を見開いたまま大粒の涙を零して、口からうわ言のように謝罪を漏らす。
絶望に染まったその顔を見てガルイムはもっとその顔が見たい、と思った。
「おい貴様!分かっているのか!?これは契約違反なんだぞ!貴様の家は全員打首だ!」
男の言っている内容はガルイムには理解できなかったが、母親は弾かれたように顔を上げる。
「わた、私だってアンタみたいな身勝手な男と一緒になんてなりたくなかった!ずっとずっと触れられる度に吐き気がしていたのよ!」
母親の顔が怒りに染まる。
先程の絶望した顔の方が好きだった。
「ざっけんじゃねぇぇええ!」
「神速の雷」
反抗した母親をさらに殴ろうと腕を振り上げた男は、次の瞬間黒焦げになって倒れる。
ガルイムの魔法だ。
母親は驚いた顔でそれを見下ろしてガルイムを見る。
けれどすぐに立ち上がり、ガルイムの手を握って路地裏へ逃げた。
「ガルイム!ごめんなさいごめんなさい!私はあなたさえいてくれれば、どこでだって生きていけた!」
柔らかくて温かな腕に抱きしめられる。
懐かしい匂いがした。
「スラムだってどこだって生きていけたのに、あの日、買い物に出かけた時に家に連れ戻されたの。あなたのことは始末したと教えられて…」
ガルイムの中で、笑顔で出かけていく母親の遠い遠い思い出が蘇る。
彼女はいつだってガルイムを愛していた。
母親とはとても温かい。
スラム街で人が居なくなることなんてよくある事で、だから捨てられたのだと疑いもしなかった。
「生きててくれてよかった。もう離さないわ、一緒に生きましょう?あなたの為ならなんだってするわ」
「…………………………じゃあ、その舌はいらない」
母親の愛情に触れて、ガルイムの中で我慢して我慢して押さえ込んでいた衝動がついに爆発した。
俺のためならなんでも出来るのなら、俺が満足するまで絶望してもらおう。
パチンとガルイムが指を鳴らすと、母親は自分の口を抑えて言葉にならない悲鳴をあげた。
ガルイムは楽しくなってくる。
「ふ、ふは、ねぇお母さん。俺ね、魔法得意なんだよ。見てごらんよ、痛みもなく鮮やかに舌だけを消失させることが出来るんだよ!すごいでしょう?」
「っ!〜〜〜!!」
母親は怯えた表情で何かを言おうと音を漏らす。
「ははっ、何言ってるか全然分かんない!ところで、俺の為なら何でもしてくれるんだよね?」
ガチガチと奥歯を震わせて、自分の体を抱いて怯える母親の顔が絶望していく。
あぁもっと、もっとその顔をしてほしい。
ガルイムが手のひらを打ち合わせると、2人の姿は路地裏から消え去る。
次に2人が現れたのは、とある家の男たちが集まる場所だった。
「やぁおじさんたち、この人買って欲しいんだけど」
「あぁ?てめぇはスラムの雷小僧じゃねぇか」
「こいつぁ上物だな。格好からして貴族か?」
「厄介事は請け負わねぇぞ」
母親はパニックになって壁際で震えている。
もっともっと涙を流して?
「もうすぐ一族皆殺しにされるとか言ってたから、逃げてきたんじゃない?」
1人の男が母親に近づいて、乱暴にその髪を掴む。
母親は言葉にならない悲鳴をあげて、男たちがニヤリと笑った。
「舌なしか。いいだろう、ほらよ」
ジャリンという音がして、金貨が数十枚入った袋が投げられる。
交渉は成立したらしい。
この男たちは簡単に言えば人身売買をしているやからで、昔スラムの子どもを誘拐しようとしてガルイムと衝突したことがあった。
「あぁちなみにそれ傷物らしいから、おじさんたちがちょっと遊んだっていいと思うよ」
「ガキが色毛づくんじゃねぇや」
そう言いながら男たちは数人で母親を囲み始め、舌なめずりし始めた。
まるで盛りのついた獣みたいだ、馬鹿らしい。
そのあと男たちはその女の正体が、ガルイムの母親だと知らずに息子の前で凌辱していく。
ガルイムは絶叫をあげる母親が、最後の最後まで自分へ助けを求めて手をのばす様を見て満たされた。
それから、とある有力貴族が娶った女の生家を告発し、小さな伯爵家が親族に至るまで全員縛り首となった。
戸籍のない人々の集まった路地で大量虐殺が行われたが、元々身寄りのない者ばかりだったため詳しい捜査は行われていない。
とある収集家の下で、ボロボロになった赤毛の女が玩具として飼われたことは、知る人ぞのみ知る。
書いてて気持ち悪い男、過去最高。




