魔女狩り
待っていてくれた方ありがとうございます!
あまり携帯を触れない用事が出来た為10日ほど書けず、今日からまた頑張ります!
よろしくお願いしますです。
私が『魔女』になって気づけば5年近く経過した。
魔族側でも人間側でも『霧の黒魔女』と呼ばれるようになっていて、見た目は18歳くらい。
と言っても『魔女』として活動している時は、黒いレースを目元に付けているため関係ないだろう。
「はぁ…またケンタウロスだ」
私は自らの城の執務室で、ワータイガーの土地の被害報告を読んでいた。
ワータイガーと隣接する土地に住むケンタウロスたちが、最近よく境界を超えている。
その度にワータイガーたちといざこざを起こして、仕舞いには 「人間風情に負けたくせに」 と馬鹿にして言っているらしいのだ。
「そろそろ私が出向いて、叩き潰した方がいいかなぁ」
とりあえずそれは保留にして、学校からの報告書に目を通す。
学校の方は至って順調で、第4期生たちがそろそろクラス編成をするらしい。
5年前に比べて教師陣も潤沢になってきたし、親や子供たちの反発もだいぶ減っている。
ようやく魔族社会にも学業が浸透し始めたようだ。
コンコン、と扉がノックされる。
「メルフィ様失礼します。お飲み物とクッキーを持ってきましたので、そろそろ休憩されてはいかがですか?」
「わぁ!シルディアありがとう!」
黒地に白エプロンの給仕服に身を包んだシルディアが、トレーを片手に入室してきた。
13歳になったばかりのシルディアだが、元々のポテンシャルが高いせいか大人びて見える。
綺麗な桃色の髪を二つに分けて三つ編みにし、一見地味だが可愛らしい私のメイド。
「今日はチョコチップ入りです」
「大好き!シルディアも一緒に食べよ?」
「いえ、私は業務中ですので遠慮致します」
「フェルも呼んで、3人でお茶しようよ」
「…だめ、です」
私がお願い!とポーズをとると、シルディアは顔を背けてダメ、と言う。
一応彼女にとって私は恩人で雇い主らしい。
だから友人のように接するのは失礼に当たるからダメだと思っているようだ。
私は友人だと思っているのに。
「じゃあ、ひとりでさみしくたべるもん…」
「………………あぁもう!分かりました!フェルちゃんを呼んできますぅ!」
よし、今日は私の粘り勝ちね!
残っている仕事次第では本当にお茶もしてくれないんだから。
そして直ぐにカップを2つと追加分のクッキーを持って、シルディアとフェルは戻ってきた。
フェルは空色の下地に白エプロンの給仕服。
「わぁぁあ!フェルも一緒でいいんですか!やったー!美味しそぉお!」
「お喋りしながらの方が私は好きだからね。フェルいっぱい食べていいよ〜」
「メルフィ様はフェルちゃんを甘やかしすぎですよ。フェルちゃん!ゆっくり食べて、また詰まらせるよ!」
両手でクッキーを食べるフェルに、シルディアはハンカチを片手に心配そうだ。
シルディアもなかなか甘やかしている。
3つのカップはそれぞれ好みに煎れてあるのを、私は知っているのだ。
私は甘め、シルディアはストレート、そしてフェルは少しぬるめ。
「シルディア、はい、あーん」
私はクッキーを半分に割って、片方をシルディアに差し出す。
フェルにばかり構っていては、シルディアがクッキーを食べれない。
さぁ、私の手ずから食べなさいな。
「ぇ、え、あ、あーん…」
オロオロした後に観念して、パクッと食べてもぐもぐしているシルディアも、いっぱい口に頬張っているフェルも可愛くて仕方ない。
この仮初のような平和が続いて5年。
人間側、というよりはあの女に全く動きがないことが気にかかる。
密かに調べているガルイムに至っては情報すらない。
「めむふぃさまは、たべまいのれふか?」
「ん〜?食べるよ」
口に甘い生地とチョコの味が広がる。
私の大好きなチョコクッキーなのだが、チョコレートがなかなか手に入らないのでたまにしか作れない。
甘めの紅茶にも口を付けて、可愛い2人を眺めながら思考を巡らせた。
前世のこの時期、人々が魔族に敏感になっていて、約半年後に大規模な魔女狩りが起きる。
鉱山の町で起きたその騒動は、次第に国中に広がってあちこちで魔女狩りが起きるのだ。
「メルフィ様、お茶の時間くらいリラックスしてはいかがですか?怖い顔、してますよ」
「うむうむ」
「ごめんね、平和に浸りすぎないように考え事しちゃう癖がついちゃったみたい」
その後は2人と楽しい会話を繰り広げ、思考をそちらへと向かせる。
ラスティの協力のもと、人間側の情報も常に入ってくるようにはしていた。
だとしても、未然に防げるものは防ぎたい。
なにせ、魔女狩りと称して人に混じった魔族たちを殺していたのは初めだけで、罪のない女性に疑いをかけて惨殺しだしたのだから。
「1週間後の定例会議でみんなに言うしかないかな」
酷いものだった。
あの女に上がっていた報告書をうっかり見て、私は吐きそうになるくらい。
ある者は恋敵に告発され、ある者は別れた恋人に告発され、ある者は商売敵に告発された。
そうした人々の末路は、拷問されて死にゆく運命。
あんな悲劇を魔族にも人間にも起こしたくはない。
「よぉ、元気してるか?」
「ディガー!あなたが来るなんて珍しいですね」
「まぁなぁ。お前さんのおかげで大忙しなんだよ」
真っ白な虎の獣人ディガー。
今はお城に務める兵士たちの団長をしてもらっている。
ワータイガーたちは筋力には長けているが、頭はあまりよくないらしい。
だから兵団という規則を作り、好き勝手に暴れないように管理してもらっているのだ。
ちなみに魔王城にも定期的に数十人を派遣して、訓練がメインで、魔王城の護衛をしている。
「ほれ」
そう言ってディガーが差し出したのは、サキュバスに宛てた手紙の返事だった。
サキュバスの代表であるイルシャナ。
私が出会った3人のお姉さんとは系統の違う、スレンダーな美女。
サキュバスは自分の体をある程度好みに変えることができるらしく、基本的には豊満な体つきをしている。
それなのにイルシャナさんはお椀くらいのちょうど良さそうなサイズ…て、そんなことはどうでもいい!
「急に頭を振ってどうした?手紙の内容が、そんな良くねぇことだったのか?」
「ち、違います。気にしないで…」
首を傾げるディガーにとりあえず感謝を述べて、部屋を退出してもらった。
違うといいつつ、手紙の内容はあまり良好ではない。
お願いしたことを断られてしまった。
「ふぅ、なかなか上手くいかないな。定例会議で改めて言うしかないなぁ…」
そんな風に呟いて、溜め息を吐いた。
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いつもありがとうございます。
誰が好きとか言ってくれたら、そのキャラの登場率があがるかも…?




