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序章
俺は神だ。そう聞くと怪しげな宗教の教祖や頭のイカれた人と思う人もいるだろうが、正真正銘の神だ。といっても世界を作ったとか、そんな大それた存在でもない、八百万の神の1人だ。
俺が祀られている神社は小さな町の日に4.5人訪れれば良いような、正月にしかおみくじも売らない小さなものだ。
よく神は良い行いをした人は救い、悪い行いをした者は罰すると言うが俺はそんな生真面目な神じゃあない。
俺は気まぐれに人に奇跡を与える。それによって幸福を得るかどうかはその人次第だ。良い人間が悲惨な目に遭うこともあれば、悪い人間が良い目をみることもある。奇跡を与えた者がどうなろうが、知っちゃことはないというのが俺の考えだ。
とはいえ見届けるのは、与えた者の義務ではあろう。
これはそんな俺が奇跡を与えた者達の話だ。