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公共放送大好きすぎる総長

 言われて、テツヤは黙る。耳を澄まして……?

 そういえば、小さく、なにかが聞こえる。

 景気のいい、ホーンの音……あの音は、暴走族の……

 合わせて、バイクの爆音がいくつも混ざってきた。最初は小さくしか聞こえなかったその音たちが、だんだん大きくなってきて――――

「アネゴ、早いねー」

「今日は早いねー」

 ミナとルミが窓にはりついて、うふふと顔を見合わせる。

 テツヤも従った。

「アネゴ……?」

外は日が落ちていて、よく見えない。だがホーンのパラリラパラリラという音は相変わらず聞こえている。テツヤがもう一度窓の外を見ようとしたとき、凛とした声が聞こえた。

「よーし今日の集会はここまで! あたしはこれから別の集会に出るからね、お前ら帰り道は事故るんじゃないよ!」

 うおおだのワーだの、歓声が聞こえる。こんな暴走族がまだいたのか。

「今朝おはよう日本で平井のアニキが言ってたが明日ァ雨だ! 走りは休むから、お前らバイクのメンテちゃんとしとくんだよ、いいね!!」

またワーワーと歓声が聞こえた。どうも声の主がトップなのだろうか、相当慕われているのだろう。

 歓声がやまない中、ソウイチの部屋の窓がガラッと開いた。

「わあ!?」

 明らかにさっきの輪の中にいただろうと思うような女性が入ってきた。カーキ色の特攻服に身を包み、木刀を担いでいかにも不穏な様子だった。しかし、ミナとルミはすぐ女性にきゃーと抱きついた。さっきふたりが言っていたアネゴというのは彼女のことだろうか。テツヤはまとまらない頭と抜かした腰でいま考えられるだけのことを精一杯考えていた。

「おうソウイチ! きょうの集会は遅刻だったかい?」

「いや、いつもより十分ほど早い。あと集会じゃなくて総会だ」

「あーあーわかってる、似たようなもんだろ」

「……えー、ミナちゃん、ルミちゃん、そのひとがアネゴさん?」

 テツヤが聞いた瞬間、女性の目がぎらりとテツヤを睨んで、彼はヒィとうめいた。

「なんだそっちの兄ちゃん。新顔だね?」

「四階に新しく入った役員だ」

 ソウイチが説明して、女性は「ふーん」とテツヤをなめるように見た。生まれたての子鹿のように震えがきたテツヤは、それでも、なんとか、オトナのオトコとしての威厳を保とうと必死だった。

「……あ、一週間のお試しですけどね……。よ、四葉テツヤ、です」

 女性は腰を低くして目をぎらつかせた。

 なんというか映画かなんかで昔のヤクザがやるポーズに似ている気がする、と、テツヤは思った。

「あたしは二見(ふたみ)ヤヨイ。チーム【チャロラブ】で総長やってますヨロシク!」

総長! とすると、さっきの凛とした声の主はこの女性――ヤヨイなのだ。

 ヤヨイの「ヨロシク!」に呼応して、ミナもルミも一緒に「ヨロシクー!」「ヨロシクー!」と飛び回る。教育にいいのか悪いのか、もう何もわからなくなってきたテツヤは、ぼんやりとヤヨイ、それから楽しそうなミナやルミとかわるがわる握手をした。

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