少年たちのように-6
カラオケボックスから出てくるともう夕方だった。あざみはテンションが最高潮のまま、路上でも口ずさんでいた。ユキもカナも呆れた顔で涼子を見た。涼子は、あんなものよ、と仕種で返して、あざみに寄り添った。そのまま四人は近くのコンビニに立ち寄り、駐車場にしゃがみこんだ。
「うっとおしい、ガッコだな。アンタんとこは」ユキ
「そんなこと言っても、入ってみないとわかんないじゃない」あざみ
「やめちゃえばいいのに」ユキ
「親のこと考えると…、ね、リョーコ」あざみ
「まぁね」涼子
「義務教育で、私立って必要なのかな。そりゃさ、中高一貫教育っていうんならわかるけどさ、あんたんとこって、中学だけだろ。ヘンじゃん」カナ
「でも、旭学園には推薦で簡単に入れるんだよ。確か、理事長も一緒だよ」あざみ
「なんで、違う名前になってるんだよ」カナ
「そんなことまで知らないよ」あざみ
「やめたら。ね、リョーコも」ユキ
ユキの言葉に涼子は頷いた。
「ほら、リョーコもやめたいって言ってるじゃない。いいじゃない、そしたら、みんな一緒で」ユキ
「でも、せっかく受かって、親も喜んでるし」あざみ
「し、って、成績は悪くても?」ユキ
「ん」あざみ
「見栄だけだね。親はただの自己満足。あんたは、その犠牲」ユキ
リョーコはふとユキのつけているネックレスに目がいった。
「ユキぃ、そのネックレス、どうしたの?」涼子
ユキは指摘されて、得意気に胸元から引き出した。
「これ?これ、もらったの」ユキ
「それって、高そう…」あざみ
「いいでしょ」ユキ
「誰にもらったの?」涼子
「へへ、内緒」ユキ
「なによ、もったいつけて」あざみ
「ま、いいじゃない」ユキ
ひやかされることを快感と受け止めているかように、ユキは得意気だった。