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少年たちのように-4

 放課後、薄日の差す穏やかな空の下、涼子は野球部グラウンドの外野席に寝ころびながらスマホで話をしていた。相手はユキだった。

―――しらけるじゃない、さっさと帰ってさ。

「でも、あざみがあんなになってたからさ、仕方ないじゃない」

―――気合がたんないのよ。それに、ほっとけばいいのよ。誰かが送ってるわよ。だいたい、昨日はアンタのためにパーティに誘ったげたのにさ、ホント、しらけちゃう。

「あざみン家は、けっこううるさいんだよ。あの子、うまくやってるんだから」

―――たいしたもんね、お友達思いで。

「厭味?」

―――いえいえ、滅相もありません。じゃあ、今日はどう?来れる?

「どこ?昨日とおんなじ?」

―――別んとこでもいいわよ。

「やめとく。アタシ、ひとりじゃ行く気になんないし」

―――あざみは?

「ふ、つ、か、酔い。今日はさっさと帰ったわ」

―――テンション高かったもんね、昨日。

「ほとんど、バカ」

―――ハハ、そんなこと、言っていいの。お友達なんでしょ。

「友達じゃなかったら、相手にしないわよ」

―――それもそうね。まぁ、いいわ。じゃ、またね。

 電話を切って伸びをした。家に帰る気も起こらない。どこで時間潰そうかと思っていると、どすんとボールが近くに飛び込んできた。はっとして起き上がると、

「おーい、危ないぞ。そんなとこに寝てると」と声が聞こえた。声の方を見ると、見たことのある少年がいた。

「あ、朝霧さんか」

近づいてきたのは、去年同じクラスだった江川だった。

「なんだ、江川君じゃないの」涼子

「なんだじゃないよ。いま、フリーバッティング中だから、ボールが飛んでくるかもしれないよ」

「へえ、こんなとこまで飛ばせる人いるの?」涼子

「五十嵐さんくらいだけど、ぼんやりしてて当たっても責任は取れないよ」

「へいへい。あんたは、補欠で球拾い?」涼子

「俺はピッチャーだから別メニューさ。そこで、ストレッチしてたんだ」

「そうか、ピッチャーだったんだ」涼子

「そうだよ」

「エース?」涼子

「まぁね」

「へえ、ホント。二年でエースなんてすごいね」涼子

「それより、そこどくか、もう少し注意しててね。危ないよ」

はいはい、と言いながら涼子は立ち上がった。背中を少し叩くと、鞄を持ち、じゃあねと言い残して立ち去った。



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