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少年たちのように-最終話

 教室に入るとあざみが待ち構えてたように、涼子を捕まえて、教室の外へ連れ出した。そんな強引なあざみを見るのは初めてで抵抗するまでもなく連れ出された。非常階段の踊り場であざみは、ためらいながら涼子に謝り始めた。

「ごめん、リョーコちゃん。あたし、あんな恥ずかしいことしてて、それで…、リョーコちゃんまで巻き添えにするとこだったの。ごめんなさい。昨日、あれからすぐにリョーコちゃん追い掛けたんだけど、バス停にも見つかんなくて、電話しようと思ったんだけど…こわくて…」あざみ

涼子は驚いて何も言えず聞いてるだけだったが、涙ぐんでいるあざみを見ていると、逆に罪悪感がこみ上げてきた。ユミを非難することが、こんなにもあざみを傷つけていたのかと。涼子はあざみの両肩をぐっと掴んで体を揺すり顔を上げさせるとじっと見つめて言った。

「アンタが気にすることはない。アンタが恥ずかしいって思ってやめるなら、それでいいじゃない。アタシは、どうせ、巻き添えなんかにならない。ユキは、ヘンなんだよ。そんなヘンなヤツに巻き込まれるほどアタシはバカじゃない。アタシはアタシのやりたいことしかやんないんだ。だから、気にしなくていいよ」涼子

あざみは、ごめんねごめんねと繰り返しながら泣き始めた。涼子はあざみの背をさすりながら、気にしなくていいよと繰り返した。


 昼休み、弁当を持ってぶらぶらと歩きながら、江川と待ち合わせているグラウンドへ行った。バックネット裏まで来ると、外野に江川のいるのが見えた。涼子は一瞬ドキリとして、そして心を落ち着かせながら急いだ。

 ―――もし、アタシが、野球やりたいなんて言ったらどうするだろう。

涼子は江川の反応を楽しみにしていた。練習がきつそうだから、野球部に入部したいとは思わない。ただ、やってみたいだけ。そんな安易なことでも江川は答えてくれるだろうか。

 ―――でも、音楽もいいかもしれない。

涼子は、流のことも話してみようと思った。緑ヶ丘学園に、軽音クラブはなく、音楽部はクラシック系だった。第一、涼子には楽器なんて何もできない。それでもやってみたい、というのは図々しいだろうか。

 あまりに、相談したいことが多すぎて、何から話していいのかわからなかった。ただ、こうして江川が待ってくれていることが、何よりも嬉しいことに、涼子は自分自身まだ気づいていなかった。


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