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少年たちのように-10

 長くなった日の入りの中、少し汗ばむような日差しが残っている市役所の前の広場で涼子は、カナとあざみと一緒に喋っていた。

「ユキ、遅いね」カナ

「カナちゃん、一緒のクラスでしょ。どうしたの?」あざみ

「よくわかんない。今日は、なんか、行けないかもしれないって」カナ

「まぁ、いいけどね」と言いながら、交差点を眺めていると向こうから見覚えのある男が手を小さく振っているのが見えた。

「あれ、ほら」涼子

涼子が指さすと、長い髪を揺らしながら近づいてきたのは、流和人だった。

「流先輩じゃないですか」あざみ

「やぁ、久しぶり」

流は、微笑みを浮かべながら、涼子たちに近づいてきた。

「先輩、最近どうしてるんですか」カナ

「どうって、ほら」

カナの言葉に応えるように、流は肩に掛けていたバッグを見せた。

「ギターやってるんですか?え、プロになったんですか?」あざみ

「まさか」

流は、小さくはにかみながら笑った。

「そこで、ライブやるんだ。今夜」

「すっごぉい。やっぱり、プロになるんですかぁ?」あざみ

「カッコいいィ」カナ

 はしゃぐカナとあざみの後ろで涼子は、静かに流の様子を見ていた。

「好きだからね、ようやく、ここまで来たって感じだな」

「でも、でも、お金、もらえるんでしょ」あざみ

「たいしたことないよ。ほとんどスタジオ代でチャラさ」

「でも、カッコいい」カナ

「見に行きたいね」あざみ

「でも、無理よ。中坊なんて…」カナ

「悪いね。また、そのうち観に来てよ」

「でも、まだ二年も先よ…」カナ

「つまんない…」あざみ

「先輩、最近あんまり見ないなって思ってたら、そっちばっかりやってたんでしょ」カナ

流はまた静かに微笑みを浮かべながら応えた。

「オレのやりたいのは、こっちだからな」

ちょっとギターを持ち上げながらそう言う流の台詞を聞いて、三人はただ呆然とさせられるだけだった。

「じゃあ、またな」

 流はそのまま銀座のアーケードへ入って行った。三人はぼんやりと眺めているだけだった。が、涼子が言った。

「ね、行こうよ」涼子

二人は驚いて涼子の顔を見た。

「どこへ?」あざみ

「どこって、先輩のライブ」涼子

二人は驚きを隠せなかった。

「でも、中学生は立入禁止よ、どこでも」あざみ

「黙ってりゃ、わかんないわよ」涼子

「高校生だって言うの?」カナ

「あざみは無理ネ。そう見えないもん」涼子

「リョーコだってぇ」あざみ

 三人は笑いながら互いを突き飛ばしながら立ち上がると、鞄を掴み、流を追った。


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