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少年たちのように-1


少年たちのように


 某月某日―――晴。風向、南西。


 心地よい眠りからいきなり涼子は目覚めさせられた。頭を衝撃が襲ったのだった。はっとして目を覚ますと、そこは教室だった。真横に山元先生が立って涼子を見下ろしていた。涼子はその場の状況を見極め、居住まいを正した。

「目が覚めたか?」

山元先生の問い掛けに涼子は応えなかった。そしらぬ顔で教科書を覗き込んだ。

「居眠りするくらいなら、机に座ってる必要はないんだぞ」

山元先生の皮肉まじりの言葉にかちんときた涼子は、先生が教卓に戻るのを見極めると、すっと立ち上がって教室を出た。閉めた扉の向こうから何か声が聞こえたようだった。しかし、教室を出た涼子にはもうどうでもよかった。そのまま、ふらりと校庭に出て、体育の授業を横目で見ながら温室の裏へ回った。陽当たりのいい場所を選んで腰を下ろすと、大きく伸びをして、さっきの居眠りの続きを始めた。


 バス停から少し離れたコンビニの駐車場に、涼子は笠原あざみとしゃがみこんで話していた。

「だけどさ、リョーコ、カッコよかったよ。さっと、澄ました顔で出ていくんだもんね」

涼子はちょっと得意気に、それでいて表情を変えずに応えた。

「ちょっと、ムカついたんだよ。アイツ、いつも偉そうにしてるから」涼子

「あの後、ヤマゲンのやつ、ブツクサ文句言ってさ、『お前たちは、あんなのになるな』

みたいなこと言ってたよ」あざみ

「カンケーないね、アタシには」涼子

 バスがやって来た。涼子たちはそれを見て慌てることもなく見送った。緑ヶ丘学園の生徒が乗り込んでいくのを見送ると、傍に置いてあった缶ジュースを飲んだ。

「今日、どうする?」涼子

「どうするって、ユキと約束があったんじゃないの」あざみ

「ん、まぁね。だけど、どうでもいいんだよ」涼子

「なんか、元気ないね、リョーコ。体の具合でも悪いの?」あざみ

「べつに」涼子

あざみは涼子の様子を覗き込むように伺った。

「行こうよ。ユキとカラオケ行ったら、ちょっとは、元気になるんじゃない?」あざみ

「そっかもね」涼子

そう言いながら二人はまたやって来たバスをぼんやりと見ていた。乗り込んでいく生徒たちの姿を見送ると、またジュースを飲んだ。

「行こうか?」涼子

「うん、行こうよ」あざみ

 二人はのっそりと立ち上がると、まだ残っている缶ジュースをごみ箱に放り込んで歩き出した。



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