2.幽幻の少女
何で俺があいつの夢を見なきゃならないんだ? 俺は俺だ。恭一とは関係ない。ニコは、そばにあったベンチにどかっと腰を下ろした。恐らく公園なのだろう。早朝で使う人もまばらだが、噴水や丁寧に刈り込まれた木々がある。
ふと、目の前を不思議な少女が通り過ぎた。長い黒髪を片側だけ三つ編みにした少女。年齢は15~6歳だろうか。もちろんそれだけでは別に変でもなんでもないのだが、奇妙なことに、“希望のカケラ”が彼女の周りだけをまるで人魂のように舞っていた。奇異なことに、ニコはきょとんとして彼女を見つめていた。こちらに気付いたのか、振り向いた少女と目が合ってしまう。直感的に、ニコは目を背けた。…早く立ち去ってくれ。その願いは叶わず、少女はニコに近づくと同じベンチに座った。短くない沈黙が、二人の間に流れる。
「…おい、なんなんだよお前は」
唐突に、ニコが切り出した。横目で少女を睨む。少女は無表情で、ニコを見つめ返した。
「お前は見ているのか」
「…は?」
物堅い調子で、少女が話す。希望のカケラは相変わらず彼女の周りを飛び交っている。一度目を背け、どこか遠くを見るように、少女はつぶやく。
「守りたいと思っても、守れないこともある。けれど人は、些細な事でも人を救える。」
少女が実際何を言いたかったのか。ニコは分からなかったが、心の中に、痛烈に響いてくる。
がたっ、と勢いよく立ち上がる。唐突なニコの行動に、少女が驚く。
「…どこへ行く?」
「お前には関係ないだろ。」
この女とこれ以上関わりたくないという思いも確かにあった。だがニコには、もっと別の、強い思いがあることが分かっていた。公園をあとにし、急ぎ足でハージェンの駅へと向かう。まだ、間に合うかもしれない。
『ウィレイド方面行き、間もなく発車します』
「乗せてくれ!」
駅のアナウンスが響く。半ば駆け込むようにして、ニコは電車に乗り込んだ。車輪が稼働を始め、ゆっくりと加速していく。
…ったく、お節介な奴ってのはめんどくさいな。
新キャラ登場♪ ようやくね
しかし話し方が何か変(汗)
さてさて、ニコが向かったのは…?