2.他人(ひと)と違う
形や色を次々に変化させる“光”を、ニコはしばらく見つめていた。
「なんだろう、これ…」
実体がなさそうなのに、自分の手のひらはその存在を感知している。強い光を放っているはずなのに、しばらく見つめていても疲れてこない。まったくもって不思議な物だった。
「ニコ、お前…何見てるんだ?」
「…は?」
不意にかけられた言葉に、ニコはきょとんとした。手の中の“光”を見つめている自分を、男達は怪訝な顔で見ていた。まるで、気味の悪いものを見るような目で。
「お前ら、ひょっとしてこれが見えないのか?」
「“これ”って? 何も持っていないじゃないか。」
手を差し出し、“光”を見せてみる。だが、誰もそれを見ることができないようだ。これだけ派手に光っているのだから、隠れて見えない、という訳ではないはず。つまり、自分にしか見えないということ。まるで幽霊のようだと、ニコは思った。“光”をぐっと握りしめると、フッと見えなくなった。無くなったのではなく、自分の中に入ったのだと、ニコは感じることができた。
「それよりさ、お前の持ってる剣、かっこいいな! 見せてもらってもいいか?」
「…勝手にしろ」
男が興味を示したのは、先ほど抜いた赤い剣。すらりと細い剣で、陽光を反射している。ニコはどうでもいい、とばかりに剣を男に渡した。最初は嬉しそうな顔をしたが、持った途端表情は苦痛にゆがみ、剣を取り落とした。
「つっ! 熱ちぃ!!」
カラン、と剣が落ちる。見れば、男の手は少しばかり火傷していた。自分が持った時は火傷どころか熱すらも感じなかったというのに…。
「お前、こんなの持って戦ってたっていうのかよ…」
火傷を冷やしながら、男はつぶやく。ニコはもう一度剣を手にした。先ほどの熱が少し残ってはいたが、ひんやりと冷たいぐらいだ。ひょっとしたらこの剣も、自分にしか持てないのかもしれない…。ニコはぼんやりとそんな事を思った。
どうして自分はこんなにも他人と違うのか…ニコは、これまで考えたことはなかった。もちろん、炎を扱えるという点では生まれつき他の人間とは違う。だが、それは単に自分の能力なのだと割り切っていた。それで不自由など無かった。なのに…
なのに、急に自分のいる世界が小さく感じてしまった。いくら求めても、これ以上の答えは出そうにない。
ニコは荷物をまとめ、自分の故郷、テラノースをあとにした。
「・・・・・・・・・・・・本当に?」
「せや、かなり確かな情報やで。」
怪訝そうな顔をする女性に対し、男性の方は嬉しそうに笑っている。
「数日前にテラノースに現れたらしいんや。…で、どないする?」
「・・・・・・・・・・・・邪魔するものは、排除。」
「なんや、珍しく気合い入ってんなあ。」
女性は自分の得物に手をかけ、グッと握りしめる。表情こそあまり変化しないが、男の言う通り気合いが入っているようだ。対する男性の方は冗談めかしくヘラヘラと笑っている。
「さて、テラノースに向かうで!」
「・・・・・・・・・・・・うん」
二人は、自分たちの泊まっていた宿から出て行った。
ぶっちゃけ後半の展開が書きたかっただけという
そして、謎が謎を呼んでしまっている…
あとに出てきた人、誰と誰か分かりましたか?
二次創作である以上その辺を想像できてしまうのかなー…