最終章 辿り着く一直線 ゴールの先
……一ヶ月後。
「お前、いいのか?学校とやらは」
平日の朝。願っていた学生生活をサボり、ベルフェといつものファミレスで私にとってはデートみたいなことをする。ベルフェは私が学校をサボることを気にして、いつもの言葉を言う。
「大丈夫だって。一応、私は優等生だから、たまにサボっても問題ない」
私はずっと教会にいたから学校には行っていない。だが、いつでも学校に入れるように独学で勉強もしていたし、学校のレベルも低いので成績に関しては問題なかったどころか、上位になってしまった。カッシアの場合は中学なので学力関係なしに入学はできるのだが、呪いを弱めるために私の一部を共有したのが原因なのか、カッシアの学力は私に劣るが平均的な中学生よりは良いみたいだ。
私もお決まりの言葉を言い返し、デートみたいなことは始まるのだが、今日はもうちょっと長引く。
「サボる奴は優等生じゃないだろ、進路に影響出るぞ」
「それこそ、心配無用。私は魔術師になるから。幸い、魔術師に当てがあるし」
これ以上は何も言えないのか、ベルフェも承諾し、デートみたいなことは始まった。
「幸せそうだな?お前」
「……その質問。前にもしなかった?」
「俺はしてないから、別の奴じゃないのか?そいつも俺と同じでからかいたかったのかもしれないな」
「そうかな?私の知り合いにベルフェ以外にこんな質問する奴はいないと思うが。何か、毒のある質問だし」
不幸せとは言いたくないし、幸せと言うのは嫌味な感じがする。どちらにせよ、軽々しく口にする言葉じゃないと思う。
「まっ、いいや、答えるよ。私は幸せだ」
「幸せというか。で、理由は?」
「欠けたものがなく、自分のためだけに幸せを求めることができるからかな」
「そのために、周囲を無視し自分のためだけに突っ走るのか。本当にお前は面白い奴だ。そのお前がどこまで自分の強欲を満たせるか俺が見続けてやるよ」
「そう。それだけの時間があれば、私がベルフェに探させた答えも見つかるか」
一ヶ月も経ったがベルフェはまだ答えを見つけていない。私もベルフェ自身も簡単に見つかると思っていたので、見つからないまま十日が過ぎたころにはベルフェをからかう数少ないネタとなっていた。
「お前だって、わかってないくせに」
「私はわかっているよ。でも、ベルフェが答えを見つけるまで言わないの」
遊園地にて、ベルフェは私と付き合えた奴は幸せだと言った。その時にはわからなかった。
でも、あの日、そのことがわかった。それは、ベルフェの探す答えと同じ。
私はカッシアを救うため、人殺しをした。それで救われたカッシアが喜ばないことをわかっていても。だから、私は喜んだ。私を救ったベルフェは穢れなかったのだから。
そして、同時に気づいた。例え、私を救ったベルフェが穢れていても私はベルフェを拒絶してはいけないと。ベルフェは私が自身を穢してまで大切な存在を救うこと異常を受け入れたことを。
だから、私の強欲を受け入れたベルフェならいつか答えに気づくと確信している。
今度のゴールは見えない。ひょっとしたら辿りつけないのかもしれない。それでも、私はゴールを目指し突っ走る。私の強欲は私を受け入れるベルフェをどうしても欲したのだから。
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