第十一話 悪魔との遊戯
ベルフェが携帯の説明を終えて、また話しのネタがなくなってしまう。そして、時間も過ぎ、一般的な社会人の昼休みの時間になってしまった。ジュースだけ飲んでだらけていると店側から冷たい目で見られてしまうので外に出る。
「食事の次は何だ、娯楽か?」
「ん、何で俺に訊く。そんなことを」
「いや、今はベルフェの命令に従っているし。ファミレスの食事もベルフェの命令だろ」
「……そうだったな。では、娯楽を求めよう。ゲーセンはどうだ?お前が俺に勝てたら、お前の命令を一個聞いてやるよ。別に、お前が負けても何もしないけどな」
「面白い、その挑発に乗ってやるよ。私が勝ったら……一日限定私専用の執事にでもなってもらおうか。いや、首輪をつけてペットにするのも」
「……エヴァリスって、二次元の思考を三次元に持ってきちゃう人?」
唖然とした声でベルフェが訊いてくる。私は何か変なことを言ったのだろうか?漫画とかでありそうな話だと思うのだが。
「何か変なこと言ったか?面白そうな罰ゲームだと思ったけど。後、好みの男を執事やペットにしてみたいし」
「いやいや、そんな奴は珍しいって。特に、好みの男をペットにする奴はいないだろ?」
「罰ゲームならありだと思うが」
多少の無茶でも罰ゲームならありだ。尤も、無茶な罰ゲームを要求すると相手からも無茶な罰ゲームを要求される。しかし……。
「ベルフェが言っただろ、私が負けても罰ゲームはなしだと。一方的に罰ゲームを与える場合、無茶苦茶なものでも問題なし」
「……わかった。その命令でいい。俺が負けることはないし」
一時間後
「あれは反則だろ」
微妙に暗く、ゲーム画面や大型ゲーム機の飾りが光源となるゲーセンにて、ベルフェにアイスをおごらせる。ベルフェも自覚があるからなのか、アイスをおごるのに了承してくれる。
「……ハンデってことで……ダメか」
「ダメ。ハンデには相手の同意が必要だろ」
ベルフェがやった反則は、魔力を使いゲームキャラとの一方的な感覚共有。簡単に言えば、自分の感覚をコントローラにすること。それにより、コマンド入力のミスや判断と行動のタイムラグを無くす。そして、わずかな可能性があれば不可能に近いことを可能にさせた。魔力を使ったがベルフェはゲームのルールを破っているわけではない。極端な話、凄腕過ぎるゲーマーということだ。
種明かしをされても、私には真似事も妨害もできなかったので負け続けた。無論、正攻法で挑んでもゲームが趣味で少し得意って程度の私の腕では勝てないのは言うまでもなかった。
「だが、種明かしした後もお前は俺に挑んだだろ。それでも反則だと抗議を受け入れジュースをおごってやった俺をありがたく思え」
「ゲーム勝負に魔力使うな。ゲームの腕だけで勝負しやがれ」
「わかったよ。一回だけ勝負してやる。その代わり、命令を聞いてやるって約束はなしだ。実力差があるからな」
「いい、それで。今はお前に勝つことが重要なんでな」
「いいけど、虚しくないか?弱者を甚振って自分のプライドを保つのは」
ベルフェの言うとおり、そんな行為は虚しい。
「いいの。私はプライドを優先するから」
プライドを保つための行為で勝負をするが、誤算があった。ベルフェは反則をしていたが、通常のプレイを学習し上達していることに私が気づけなかった。結果、思ったより苦戦をする羽目になり、プライドを保つことができたかどうかは微妙だった。
その後も、私がよく行く場所で時間を潰し、一日が終わる。
そして、十日間の八日も似たような感じで終わる。
私にとってベルフェは話が合うので友人として楽しいがそれだけだった。




