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男装のエース  作者: 刻野尾灯
5/6

第5球:4月22日 土曜日 午前10時

4月22日・土曜日は、北海道の4月としては異常に気温の高い日だった。

雲ひとつない青空で、強い日差しが降り注いでいた。

白樺西高校しらかばにしこうこうの第二グラウンドの入り口の金網にくくりつけられている温度計の赤い液体は、

19℃の目盛まで上がっていた。


土曜日の校舎からは、吹奏楽部が練習する音くらいしか聞こえて来ず、

ひたすらに響くのは金属バットがボールを打つ音と、球児たちの野太い声、

そして第一グラウンドの方から聞こえる一軍野球部が同じように練習する音だけであった。



「あっついな。」


「今日はこのあと、ちゃちゃっと練習試合して終わりだからいいじゃん。」



外野ノックの順番待ちの間に雑談するのは、白樺西高校の野球部の1年生だ。

第二グラウンドで練習をするのは2軍の部員たちで、ほとんどの1年生と2年生、一部の3年生がここに属する。

このグラウンドにいるということは、公式戦でのベンチ入りなど夢のまた夢。

まずは2軍での競争を勝ち抜き、約20名が参加できる第一グラウンドでの練習にたどり着かなければならない。

北北海道代表の常連校で、夏の甲子園で優勝経験もある白樺西高校の野球部員の数は約100名。

3年間で一度も背番号をもらえない部員も珍しくはない狭き門だ。



「今日の相手、どこの学校だっけ。」


「えぇと、芝桜高校ってところだったと思う。」


「聞いたことない学校だな。」


「まともに人数揃ったのが何年かぶりのところらしいよ。」


「なんでまた、そんな弱小校とならなきゃいけないのよ。」


「確か、そこの顧問とうちの監督が、親友なんだって。」





「まぁ、バスケ並みの点数とりゃ、満足してもらえるか。」




時刻は午前10時を過ぎたところ。

芝桜高校野球部と白樺西高校野球部二軍との練習試合は、午前11時からの予定だった。


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