私の名前は
「そういえば、お前」
「はい?」
「名前は何か、考えたのか?」
「いえ……まだですね」
「ああ、それ」フォルセティが横から割り込んだ。「少し考えてみたんだ」
「あら」
「ローズマリー」
「ローズマリー、ですか」
「そう、キミにはなんだかぴったりだと思ってね。……どうかな」
少女はしばし、考える。悪い響きではなさそうだった。
ローズマリー。
少女はその名に、デジャヴのようなものを覚えた。言葉を探せば、懐かしい、という単語がよく合った。なぜそう感じるのかはわからないのだが、その理由を探す意味も見出せなかった。
何度か心中で繰り返す。どこかしっくりくるものがあった。
「いいですね。それにしようかな」
「え、いいの」
「仮といえど、しばらくは呼ばれる名前だ。いいのか、そんなに軽く決めて」ウッルも意外そうな顔で訊く。
「いいんですよ。ローズマリーって、色んなことに役に立ちますし、お花もすごく、綺麗ですから」
少女――ローズマリーはそう言いながら、綺麗だって覚えているんだ、と思った。そんなことを覚えているのになぜ、自分のことは覚えていないのかしら?
「キミがそう思うのなら、いいけど。ちょっと照れくさい気もするけどね」
「ええ、私のことはどうぞ、ローズマリーとお呼びください」
ローズマリーは立ち上がり、ふわりとお辞儀をしてみせた。
「うん、すごくいい」フォルセティも言った。
長くなったり短くなったり、読みにくくて非常に申し訳ありません。