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三秒殺しの日常  作者: 縁碕 りんご
日常~4月下旬~5月上旬
33/104

球技大会種目分け

 「えー、それでは来月行われる球技大会の種目分けをしたいと思います」

 HRの進行中なう。

 

 「…咲真。どうしたら私サボれる?」

 『運動苦手なのか?とてもそうには見えないんだけど』

 

 合コン云々で私にとっての貴重なゴールデンウィークは潰れた。けど熱が下がり、学校に来てみると、私が割ったガラスは綺麗に修理されており…じゃなくて、カップルが異常に増えていた。リア充はこの学園の名物のひとつらしい。

 そしてここに来て、球技大会について話し合い始めた段階でわかったことがある。これは半分、男子が女子にアピールする為に異常にハッスルするパターンだ。

 「だって見ててわかるから。誰がどの子を好きなのか、そいつの顔と視線を追っていけば…この大会もまた、男と女が近づく為のきっかけに過ぎないんだと!!」

 

 そうやって無駄話をしている間にも、種目分けが始まった。バレーボールか、サッカーか、バスケ。後テニス。補欠枠は狙えないものだろうか。

 だって私がスポーツなんかに参加したら…

 「隣のクラス、友永くんがいるもんなあ~」と誰かがため息をつく。

 「バスケは、沢原さんと黒錐くんがいいと思います!」

 

 ……おいそこの余計なこと言った奴表でろや。


 ***


 「はぁ~…隣のクラスは友永くんが出るんだ」

 「あのアルビノボーイ、強いの?」

 結局私は咲真ともどもバスケグループに放り込まれた。白石一樹も何故かバスケを希望、即認可される。心ちゃんは足が悪いので見学者、子規はバレーボールだ。

 子規は合コンパーティの最中に転校生として紹介され、生徒会メンズと並んですぐに人気者になった。なのにこの女装好きときたら何故か私としか話そうとしない。他の女子にも平等に接しているけど、やっぱり弁当は私らと食べたがるし、それでも何故かもじもじしながら私を見ていることが多い。

 「強いよ~。アルビノだってことは抜きにして強い」

 「でも、アルビノは弱視とか眼球振動がキツいし…どうやってエースになってるんですかね」

 「実績は残してるんだし、無視はできない。まあ、やるしかないでしょ」

 

 あのアルビノボーイ相手にやりあうのはとても気が進まないんだけどね。

 

 


 で、いきなり放課後に桜組VS若葉組の練習試合に拘束された。

 私は女子の中で一番背が高いということで、むしろディフェンスに回されることになった。背が高い方が、よりボールをブロックしやすいから。

 攻撃の方に回してほしかったなあ、と思ったけど文句は言わない。何しろオフェンスは全て男子が独占している。私よりもずっと早いリーダー格の浅井遼太郎には逆らえない。咲真は当然オフェンスの方に回されたけど。

 …ていうかこの人たち、基本的スペックやばくね?体操服からのぞく腕に目が吸い寄せられそうになり、慌てて顔を背けた。我ながらなんで人の筋肉に感心していたんだろうと自分の脳に疑問を持ってしまう。そうこうしている間に試合は開始する。

 「沢原さん!マークして!」

 言われた通り…何故か友永君を追いかけていく羽目になった。ボールを奪おうとするけど上手くいかない。他にもディフェンスが殺到して…は来ない。そんなことをすれば友永君がすぐにパスを放ち、シュートを入れられてしまう可能性大。

 「ちいっ…」

 私は一旦ゴール近くまで退避し、思いっきり投げられたシュートを、思いっきりジャンプしてぎりぎりボールを奪った。ゴールポストの下に立ち、友永君がいる方向とは逆にいる味方に投げる。上手くいくといいんだけど。

 一瞬だけ目に入った、顔が整いすぎているアルビノボーイは小さく笑っていた。

 

 …せっかくパスを投げたのに上手くいかなかった。友永くんが早すぎる。素早く接近してボールを奪ってしまう。



 うわあこっちくんなよまた私か!!…と思ったけど咲真がたくみにマークしてボールを奪う。


 白い頭と黒い頭が対峙し、一歩も引かない。これではボールの奪い合いになるだけだと先に悟った黒の方が、思いっきりゴールポスト付近にいる味方にパスした。


 「すごいね、僕のシュートをとめるなんて」

 「…どうも」

 それはディフェンスに女子が多すぎたからで。で、あんたの足に追いつけるのが私一人だったからで。これで、男子ももっとディフェンスに参加させるべきだという意見は固まった。練習試合は全て引き分けに終わってしまったけど。

 「でもよくやりますね。いろいろハンデがあるんじゃないですか?」

 「明かりを見ないようにして伏し目がちにしていれば、あとは耳で判断する」


 子規の口からちらちらと聞いた、弱視だの眼球震動だのというハンデ。それを撥ね退けてでもバスケをやりたいなんて、よっぽどバスケが好きなんだろう。今まで性格の悪い奴だと決めつけていたけど…今目の前に立っている奴は爽やかに笑っていて、目はキラキラしていた。

 「…普段からそうやって笑っていればいいのに。ミステリアスなのが吹っ飛びますよ」

 「え?僕が?」

 一瞬浮かべてくるきょとんとした表情。

 「僕、笑ってるんだ?」

 「はい。目がキラッキラしてましたよ。…やっぱり、好きなことにうちこめると、人は自然に感情が出てくるんですね」と何気なく言ったけど、

 「そうなんだよ!やっぱり僕の場合はバスケなんだ!」といきなり大きく頷かれた。

 「頑張ってください。目標、捨てたらダメですよ。目標がないと、人間は何もできなくなります」

 友永君はいぶかしげに眉を細め…「君って何歳?」なんて質問するんだ。

 「え…?じ、16歳ですけど」嘘ですほんとは17歳です。

 「嘘つき。名簿にちゃんとデータがある」やっぱりバレてましたかすいません。

 「でも、17歳には見えないな。何だか達観してるよね、沢原さんは」

 

 …決してそんなことはない。


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