表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三秒殺しの日常  作者: 縁碕 りんご
日常~4月下旬~5月上旬
30/104

楽しいパーティのはずが

ちょっとCASE2がストーリー展開単純すぎると思って消した。またここから書き直しです。

 不良は不良らしくすればよかったのか。私はおとがめなし、ということに納得できなかった。ここで本当のことを言えば、私は器物損壊の角でガラス代を弁償するとか、もっと厳しければ一週間停学処分になる。私はその方がよかった。

 

 でもおとがめなしだった。


 真弓グループは、沢原千華の私物をプールに投げ落とし、(実際は私に窓ガラスを叩き割るレベルの殺意をぶつけられ、びっくりして落としてしまっただけ)、さらに沢原千華に暴力行為を行った(実際は私が自分で怪我を負った)ということで、全員一週間の停学処分となった。

 でも私は人を騙してしまった。


 もう何だかこんな自分が嫌になって、普通に服を着たままプールに入り、落とされた私物を拾うという愚行を犯した。


 結果。



 

 「うそ~…千華が熱を出すなんてめったになかったのに」

 「39.2度…」

 私から体温計を受け取った兄さんが、驚愕の声をあげた。アラステアも心配そうに冷たい水が満タンのペットボトルを運んでくる。兄さんいわく、「喉が渇いた時に、下手に体を動かさず飲めるように」という余計な配慮だった。

 これは、せめてもの私への罰だ。兄さんの言うとおり、私は体力ばかりが取り柄で、病気なんてめったにしたことがなかったから。こんなに高熱を出すのは、神様が真実をちゃんと分かってくれているからだ。このままいっそ、地獄に召喚してもらえたらいいのに。

 本当のことを言ったら…嘘をついたことがバレたら、きっと皆、私に失望する。

 

 嫌われちゃう。


 普段の私らしからぬ、女々しい思考に苛まれた。


 そんなこんなで、私は必然的に、学校恒例行事を病欠で休むことになった。アリスくんはぎりぎりまで私の看病をしてくれたし、珍しく「サボる」なんて言い出したけど、学校に行かせた。できるだけ寝たふりをしていないと、「お腹すいた?」「動ける?」なんていちいちかいがいしく接してくるから、面映ゆくて。

 兄さんもしっかりご飯を作り置きしてから、大学へ出かけた。

 それから私は、ずっと眠り続けた。


 怖かった。

 大きな男が私を抱き上げ、私の頭に拳銃を突きつけ、誰かを威嚇している。恐怖で思いっきり見開かれた視界の真ん中で、もう一人の若い男が、こちらに向けて険しい顔で拳銃を構えて、何かを叫んでいた。英語、だったと思う。

 私はひたすら大声で泣いている。すると口をふさがれ、それだけで私は息ができなくなる。


 大きな銃声が響いて、


 「っ…!」


 汗びっしょりで目が覚めた。


 「はっ…あっ…」

 私は体のどこにも風穴が開いていないことを確認する。あんまりにもバカすぎる行動だったけど、そうせずにはいられなかった。自分の額に張ってある、すっかり冷たさを失った熱冷まシートを剥がして時計を見上げた。

 くそっ…起き上がるだけで軽く頭痛がする。今、時計は午前11時を指している。

 私はできるだけゆっくりと起き上がり、テレビをつけようとリモコンに手を伸ばした。

 

 いいじゃないかもう。私はもともとパーティーに行きたくなかったんだ。皆だけ楽しんでりゃいいんだ…

 

 インターネットもない家じゃ、病人のヒマつぶし方法はテレビを見ることだけだ。けど、何も面白そうなものはやっていなかった。興味もないニュース番組の、子供の日のリポートが始まっていた。


 ん?


 子供の日?


 「…忘れてた」

 今日は、私の誕生日だ。


 散々なものだ。誕生日の前日に怒りにまかせてガラスを叩き割り、勝手に怪我をして勝手にプールの中に入って、勝手に高熱を出して、誕生日にこのざまだ。変わったことと言えば、私の右腕が華麗に真っ白に輝く包帯に包まれていることだけだ。

 いろいろと面白くない。一体何だって言うんだ。

 

 ピンポーン


 インターホンが鳴った。


 …来客?私しんどいんだよね。宅配だろうが宅急便だろうが誰だろうが、知ったことか。


 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

 ピポンピポンピポンピポン…


 「あぁうっさいな!!」

 布団を撥ね退けて起き上がり、どっかの知らない奴だったらドタマかち割ってやろうと思いながら、ぐいっとドアを押しあける。

 …一瞬、心ちゃんが立っているように見えた。

 否、違う。心ちゃんが一日で骨折を直して車椅子とおさらばできるわけがない。

 「子規…くん?」

 「やっぱり御病気でしたか。お見舞いに伺いました―」

 どうしてこの人は心ちゃんの格好をして紙袋もってここまでやってきたんだろう。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ