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三秒殺しの日常  作者: 縁碕 りんご
日常~4月下旬~5月上旬
28/104

ブチ切れるあまり

 

 合コンパーティー三日前。


 新聞部による「カレシにしたいランキング」「カノジョにしたいランキング」が発表された。


 「どうしたんですか、千華さん…顔色悪いですよ?」

 「あぁ、うん…」私は練習通りに微笑む。

 皆と違って、合コンパーティが全く楽しみじゃない理由が「ドレスがないから」なんて口が裂けても言えない。日が近づいてくるにつれて、きっと私の顔色は悪化していくことだろう。アリスに、言い返せないほど論理的に畳みかけられてから、一日が経過していた。

 そんな中で、私は心ちゃんの車椅子を押しながら、掲示板に張り出されたランキングを見に行った。

 

 ~カレシにしたいランキング~


 同率一位のイケメンぞくぞく!!


 一位:黒錐拓真(あの赤メッシュのカッコよさがたまらない)

   :白石一樹(あのイケメン顔を可愛く笑顔にするのは誰だ!?)

   :藤村 要(女性諸君。藤村氏のツンデレぶりを知っているか?)

  

   ・

   ・

   ・

 「あの赤メッシュ、すっごいなあ…見てよ、生徒会役員が全員上位に食い込んでる」

 私はとにかく気晴らしがほしくて、ランキングを指さしながら心ちゃんに声をかける。けど、心ちゃんは隣の「カノジョにしたいランキング」を見て蒼ざめていた。

 「え…?」

 

 ~カノジョにしたいランキング~


 異色の美少女達が出現!!


 一位:琴峰 心(彼女こそまさに日本人の美)

 二位:如月・キャメロン・恵鈴(東洋と西洋の血が混ざれば美女が生まれる)

 三位:沢原千華(やはり男は強い女に寄って行くのか!?)


 

 「…え?」

 私も蒼ざめた。

 「「嘘…」」

 ランキングが間違っているんじゃなかろうか。そして、ようやく、最近女子が私に向ける視線がギスギスしていた理由に気付いた。

 「心ちゃん…」私は彼女に真実を叩きつけることにする。

 あれはただのランキングじゃない。カレシランキングは男達の暗殺リストであり。カノジョランキングは、女達の暗殺リストだ。


 そのランキングを皆が見た日。私は、心ちゃんの車椅子をわざとこかそうとしてくる姫ギャルを殴り倒したり(こんな肝心な時にアレックスは留学生クラスで拘束されている)、外に面した廊下を歩いていれば、窓から落ちてくる花瓶を車椅子を高速フルスピードで押して避けたりするはめになった。

 

 そして放課後。私の身にも、大変なことが起きる。

 

 トイレに言って戻ってみると、姫ギャル達が私の机に群がっている。

 落書きでもされたか!?と急いで駆け寄ってみると、机もカバンも無事だった。


 ただ。


 「ねえ、沢原さん。これはなあに?」

 何冊かの教科書と共に取り出されたのは。ちょっと前に終わってしまったアニメのドラマCD。

 「私がオタクだから何?それを返せ」

 「知ってるわ。この間、世界史の授業で注意されてたものね…窓から落としてしまおうかしら」

 すっと、にっくき真弓の、私のアニメCDと教科書をもった片手が、窓の外に突き出される。その下はなみなみと塩素入りの水を湛えたプールだ。

 「そこまでして何がしたいんだよお前は。どうせ教科書をプールに落とした次は私の体操服をビリビリに破くつもりだったんだろ。段階を少しずつあげていくつもりだった。…一気にしかけたらお前らボコボコにされかねないもんな?」と、私は一人の姫ギャルを指さした。私の体操服袋を隠し持っていたことなど、とっくに気付いていた。

 私は姫ギャル達を押しのけて、真弓に近寄って行く。

 

 「琴峰さんのこと、どうしようかしらね」

 「…!」

 私の足を止めるに充分な一言。真弓は満足したように続けた。

 「邪魔者には消えてもらいたいのよ。貴方には最初に言っておきたかったんだけど。この学園の女子は、生徒会には近づいちゃいけない」

 「そのルールを私と心がいきなり破った。そう言いたいわけ?」

 「あの子のこと、どうしてあげよっかなあ。頑丈な貴方と違ってあの子は怪我をしているわけだから。いきなり襲ったところでひとたまりもないわよね」


 襲う。


 合コン前に向けた邪魔ものの排除。


 ふぅん。


 もはや伝統と化した戦い。


 へぇ。


 …それはなんと醜いことか。



 このメス豚達は。

 たかがアニメドラマCDや教科書がプールに落とされた程度で。



 体操服をびりびりに破かれた程度で。

 


 琴峰心をどうにかしてやろうとほのめかされたところで。


 何もできなくなると思ったのか。


 「てめぇらは、私が我慢して泣き寝入りすると思ったわけか…!」

 勝手にドスのきいた怒鳴り声が私の口から飛び出して。


 私の右腕だけが勝手に動いた。

 

 

 …ガッシャアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!


 

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