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第2話:「ギロチンの重力操作と、優雅なる蹂躙」

処刑場からのパニックに乗じ、王都からの脱出を図るヴィルヘルミナ。

立ちはだかる完全武装の近衛騎士たちに対し、喋るギロチンの真の能力「質量操作」が火を噴く。


「な、なんだその化け物は! 殺せ! 確実に息の根を止めろ!」


 処刑を指揮していた近衛騎士隊長が、恐怖で裏返った声を張り上げた。

 周囲を取り囲んでいた数十人の兵士たちが、震える手で槍や剣を構え、ヴィルヘルミナへと殺到する。


(おい、来やがったぞ! 逃げるぞ、お嬢ちゃん!)


 俺が心の中で叫ぶと、ヴィルヘルミナは小脇に抱えた自分の生首を少しだけ傾けた。


「化け物とは失礼な。私は誇り高きヴァレンタイン公爵家の長女、ヴィルヘルミナですわ。……それと、逃げる必要がどこにありますの?」


 首なしの胴体が、台座から引き抜いた俺——巨大なギロチンの刃を、スッと上段に構える。


 いやいや、待て待て!

 俺、刃の部分だけで百キロ近くある鋼鉄の塊だぞ!?

 いくらアンデッド化したからって、そんな細腕で振り回せるわけが……。


(ん? なんだこれ……自分の『重さ』が分かるぞ……?)


 その瞬間、俺の意識の中に『スキル:質量操作』という文字が浮かび上がった。

 どうやら、持ち主の魔力を吸って、俺自身の重さを自在に変えられるらしい。

 なるほど、こいつが細腕で俺を持てているのは、無意識に俺の質量を軽くしていたからか。


(……面白ぇ。おい、お嬢ちゃん! 思い切り振り抜け! 叩きつける瞬間に、俺が『極大の重り』になってやる!)


「お嬢ちゃんではなく、ヴィルヘルミナです。……ですが、素晴らしい提案ですわね」


 美しい生首が、蠱惑的な笑みを浮かべる。

 次の瞬間、ヴィルヘルミナの胴体は、踊るような優雅なステップで群がる兵士たちの中心へと踏み込んだ。


「では、ごきげんよう」


 ドレスの裾が舞う。

 彼女がギロチンの刃を横薙ぎに振り抜いた瞬間——俺は自身の質量を一気に数トンまで引き上げた。


 ドゴォォォォォンッ!!


 斬撃、ではない。

 圧倒的な質量による『粉砕』だ。

 兵士たちの構えていた鋼の盾も、分厚い鎧も、まるで紙切れのようにひしゃげ、数人の兵士がまとめて吹き飛ばされ、石畳に深々とクレーターが穿たれた。


「ひぃぃぃっ!?」


「ば、化け物だぁぁっ!」


「あら、思ったよりも切れ味がよろしくないのですね。……いえ、鈍器としては最高峰ですけれど」


 生首のヴィルヘルミナが、涼しい顔でダメ出しをしてくる。


(当たり前だ! 俺はギロチンだぞ、斬るより『落として潰す』のが本職なんだよ!)


「ふふっ、頼もしいことですわ。さあ、道は開けました。王都を離れる前に、少しだけ……『ご挨拶』をしておきましょうか」


 彼女は血塗られた俺の刃を肩に担ぎ、腰を抜かして後ずさる近衛騎士隊長へとにじり寄る。

 そして、生首の蒼い瞳で、彼を射抜くように睨みつけた。


「隊長殿。私を陥れた愛しき王太子殿下に、こうお伝えくださいませ。『首を洗って、待っていなさい』と」


 雨の処刑場に、首なし令嬢の凛とした声が響き渡った。

お読みいただきありがとうございます!

剣術でスタイリッシュに斬るのではなく、「極大質量で叩き潰す」のがこのバディの基本戦術です。次回、逃避行の中で令嬢の少し狂気的な一面が……?

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