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声劇台本

【声劇】帰還報告

作者: 緑野タニシ
掲載日:2025/12/25

声劇台本


登場人物

兄…戦争帰り、やべえ奴

妹(看護師)…常識人

母(医者)…いい人


ピンポーン


妹「はーい!……あ、え?うそ…!?」


兄「やあ、ただいま」


妹「え、う、うそ!?はあ!?お兄ちゃん!?ちょちょ、お母さん!お母さーん!!」


母「何もう、どうしたのよ。…ハアッ(息を吸い込む音)……!?あ、あんた…凡助かい!?あんたなのかい!?」


兄「久しぶり、2人とも雰囲気変わったね。秀野一等兵、勝利を収め、ただいま我が家に帰還いたしました」


母「ああ…信じられない…あんた本当に凡助なんだね!よく無事で…ああ…無事でよかったよぉ(泣)」


妹「お兄ちゃん…うう、よかった(泣)…よかったけど…本当によく生きて帰ってこれたよね。正直、あの…ごめん、絶対死んでると思ってたから…」


兄「おいおい、ひどい奴だな(笑)。俺はそう簡単にくたばる男じゃないんだぜ」


母「そうよ桃子!国のために立派に務めを果たしてくれた英雄に何てこと言うの!」


妹「お母さんだって思ってたじゃん!ぶっちゃけもう仏壇買っちゃってるし!何だろうな、私めっちゃ嬉しいんだけど…正直"え、こいつ生きてたの?嘘やろ?怖!"の方が今勝っちゃってるの!」


母「桃子!気持ちはわかるけどそんなこと言わないの!」


兄「お母さんまでひでえ!」


妹「だってコイツ、この戦争が終わったら彼女と結婚するんだってめっちゃ言ってたもん!」


母「そうねえ…それを真に受けてあの子他の人と結婚しちゃったし…」


兄「は!?意味わかんねえよ!何でそうなるんだよ!」


妹「いやほら、映画とかでよくあるじゃん」


兄「何言ってんだ?あの子が俺を捨てたことと関係ないだろ!」


妹「ピンと来ない?え、わかんないかな?私達も気を遣ってあの時は何も言わなかったけど…てっきり死期を悟ってたのかなとか思ってたんだけど!」


兄「悟らねえよ!これから死ぬ奴が何で結婚するとか言うんだよ!」


妹「これから死ぬ奴のセリフだからだよおおお!!」


兄「…お、おおう…え?」


母「それだけじゃないわ。あんたから遺書も届いたのよ…明日、爆弾を抱えて敵陣の真ん中へって…うっ、思い出したら涙が…」


兄「あーあったな!アレすげえ痛かったけど何とかなったよ!下手すりゃバラバラになってたぜ、ははは」


妹「いやちょっと待てーい!え、違うよね、今私お兄ちゃんが爆弾抱えたまま吹っ飛んだと思っちゃったんだけど…本当はギリギリ上手いこと爆弾投げて助かったとかそういうことだよね?」


兄「ん?ちゃんと敵地のど真ん中まで行ってブッ飛ばしたぞ?いやあ、流石に死ぬ覚悟は決めてたけど、案外何とかなるもんだな!」


妹「勝った!今嬉しいより怖いが完全に勝った!何だコイツ敵が送り込んだ人型の新兵器だろ!デデンデンデデン♪のアイツだよ!」


母「桃子!大事な家族に向かって何てこと言うの!」


妹「いやいやお母さん、コイツやばすぎるって!戦車より硬い体してるよ!?え、怖くないの!?」


母「失礼ね!怖さは6割くらいで済んでるわよ!」


妹「ほら!!」


兄「まあ、訓練厳しかったしなあ…」


妹「それ訓練?改造手術の間違いだよね!?」


母「そういえば…あんたのとこの基地に向けて核爆弾落とされてたわよねえ…あんた、アレも平気だったのかい?」


兄「あ、そうそれ!一番話したかったやつ!いや本当アレは熱いとか痛いとかそういう次元じゃない、ほんっっっまにアカンやつ」


妹「超えちゃった!デデンデンデデン♪より遥かに強え!私のお兄ちゃん文句なしの地上最強だ!」


母「すごいねえ…あんたは本当にすごい子だよ…あら、よく見たらこんなところに傷があるけど、もしかして撃たれたのかい?」


兄「ん?ああ頭のこれ?そうそう!流れ弾が脳天に直撃でさ、ヘルメットがなければ即死だった…」


妹「いや、すごいな…ちゃんと気をつけないとダメだよ?」


母「いやあ…でもお母さん嬉しいよ。どんな姿になっても、あんたは可愛い息子さ。本当に、よく帰ってきてくれたよ…」


兄「お母さん…ああ、本当に…ずっとみんなに会いたかった」


妹「流石私のお兄ちゃん!早く傷を治して、元気な姿を見せてほしいな」


兄「ははは、どうしたんだよ。急に可愛いこと言うじゃねえか」


母「本当によくがんばったよ。さあさ、疲れてるだろう?うちへ帰ろうね」


妹「そうそう、みんなで秀野さんの帰りを待ってるんですよ」


母「ほら、今日はこんなに歩いたんだ。もう夕方ですよ、前よりすごく良くなったじゃないですか」


兄「おいおい、何か…変じゃないか?みんな何言ってるんだ?」


母「おや、秀野さん?…(小声で)ちょっと、男性スタッフを集めてください」


兄「桃子?どこ行くんだよ。お母さん、さっきから何言って……お母…さん?いや、違うぞ…あんた、違う、何か変だ…ここは…そうだ、じゅ、銃はどこだ!俺は…俺は!」


(銃声・爆発音etc)


兄「うわあああああ!!!ひいいいあああああ!!!(阿鼻叫喚)」


医者「落ち着いて、大丈夫ですから!!看護師さん、早く!!」


看護師「連れてきました!(揉み合う音)秀野さん!しっかりしてください!」


兄「(阿鼻叫喚)」


医者「大丈夫ですよ秀野さん!何もひどいことはしませんからね〜…すいません、すぐに病室へ」


看護師「秀野さん大丈夫ですからね〜早く治して元気な姿を見せてくださいね〜」


兄「(泣・金切り声)」




--------

 



看護師「先生、お疲れ様です」


医者「ああ、お疲れ。今日は調子良かった方なんだけどな」


看護師「秀野さんには…何が見えているんでしょうか」


医者「さあね…今日は幸せな夢を見てたんだろう。私達を見てずっと何を言ってたのかは正直わからないが、きっと彼は家族に再会して、武勇伝でも語っていたんじゃないかな」


看護師「戦争は終わったのに…こんなのあんまりです」


医者「戦争が終わるだけじゃ、彼等が負った傷は癒えてくれないのさ」


看護師「……そういえば、秀野さんのご家族は?」


医者「彼の故郷は戦闘が激化した地域だ。気の毒だが、きっと…」


看護師「せめて…天国で会えたら」


医者「我々の仕事は、彼を天国まで案内することじゃないよ…つらいだろうけどね」


兄「あー…アウウ…ァァ…オカアサン…モモコォ……くひっ、うひひひヒヒヒ」

2024年2月1日 作

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