朱文字報告
『感想書かれました』
物語を書いて、読んで、感想を送る事が出来る小説投稿サイト『童話通信』で時間を過ごすのが最近のトリスの楽しみである。
本を出すのが夢なトリスにとっては『童話通信』の存在は嬉しいもので、腕を試す場所にもなるわけだ。
昨夜などは考えて考え抜いた物語を書き上げサイトへ投稿したので、この日のトリスは気分がとても良い。
(新作の出来、かなり良いと思うわ。
みんなの反応どうかしら?)
トリスはこの日も自室で『童話通信』を開いて、他の投稿者達の作品を読んでいた。
(あ!
この作者の作品、続編が書かれてある!
楽しみにしてたのよ!)
トリスがお気に入りの作家が書いた作品というので、ワクワクしながら内容を開こうとした……その時。
(ん?
朱文字通知が届いてる)
通知フレーム内に朱い文字で、トリス宛にメッセージが書かれてあるのだ。
『貴女の感想が完走しまして、乾燥致しました』
届いていたのは感想に関するメッセージだが、何処かが変だ。
「いっ……?」
変なメッセージに、思わず変な声が漏れた。
『こちらの通りです』
再び朱文字で示されたのは、数日前ある作品に書いた感想文だった。
綴られている自身が書いた感想文だが、文字が疲れきっていて干からびている。
「何これえ⁉
私が書いた感想文、カピカピになってる⁉
なんでえ⁉」
感想文が色を失い、すっかり乾いているではないか。
本来ならば朱い文字で書かれるべきなのに、完全に半透明と化し水分がとんでいた。
(え⁉
感想、完走したの⁉
だから乾燥してるの⁉
どゆこと⁉)
パニックになるトリスのもとに、二通目の報告が届いた。
『感想、改造しました』
「改造って何⁉
文面変えたの⁉」
再び通知。
『感想、売りました』
「売るなあ‼
何しとんじゃあ⁉」
『感想、返却されました♪』
「返却う⁉
返された⁉
私の感想、返された⁉
しかも語尾に音符つけんなあ‼」
『感想、横流ししましたあ♪』
「だから音符付けんな……って、横流しすんなあ‼」
朱文字での通知は、夜通し続くのであった。
「続くなあ‼」
完
『感想』




