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私達の(非)日常  作者:
一章 たぶん日常
2/8

2 凛人の日常

「凛人ー。そろそろ起きないと遅刻するよー」


「もう……ちょっとだけ……」



ジリリリッッッ。


突如鳴り響く爆音。

…………ほんっとこれ、どうにかなんねえかな。

頭の中で響くその音は毎朝必ずと言っていいほどくる。神様からの伝言だ。


「ほら、今日も神様から連絡来てるんでしょう。先にリビング行くからご飯冷めないうちに来てよ」


「りょーかい」



綾が部屋を離れた瞬間にあまり聞きたくない声が頭の中で響く。


『凛人、おはよー。よく眠れたー?』


「お前のせいで目覚めが悪い。あと語尾のばすな」


このいかにも軽そうなやつは神様だ。こんなやつが神とかこの世界も終わりだなと思ったのはもう何回前の人生か分からない。


『そうツンツンしないの。今日は特に"歪み"も発生してないから安心してね。あと最近こっち来てくれないじゃん。たまには来てよー、寂しいから』


「用がなきゃ行かねえわ」


そう吐き捨て、プツンと通信を切る。

何も発生してないのなら連絡いらねえんじゃねえかと思うが、向こうからの通信は拒むことが出来ない。


まだしょぼしょぼする目をこすりながら制服に着換え、綾とともに朝食をとる。


これが俺の朝の日課だ。



綾。

人生を共にしてもう何年になるか分からない。

時には友人として、時には伴侶として。まあ最近では伴侶のほうが多いか。それだけ綾とは切ってもきれない縁だ。別にそれが嫌というわけではない。むしろ綾しか駄目だった思う。


俺たちがループしなければいけない理由は神にある。本当に迷惑極まりないが、生きていて楽しいことも多いのでそこは大目に見てやろう。

今回転生した日本はあたりだな。生活水準、食事、教育。何をとっても他の世界に劣らない。ただ一つ言えば魔法が使えないのがおしい。いや、使えないわけではないんだ。俺や綾は使える。

そもそも魔法が使えるのは自身が魔力を持っているか持っていないかの違いである。ただ保持魔力が多ければ大きな魔法が使えて少なければ小さいというわけでもない。ここはコントロールとかも必要になってくるんだが……面倒くさいので以下略。ここはなんとなくだ。俺たちもよくわかっていない。


リビングではすでに綾が朝食を取っている。


「ちょっとー、遅いよ! 前世で習わなかったの? 遅れたらティアラに怒られてたじゃない。あれ? 前前世だったっけ」


「ティアラは前世だ。悪かったな。今日はいつにもまして神がうるさかった」


「ああ、それはお疲れ様……」


ティアラは前世の俺たちの娘だ。つい最近あったが元気そうにしていて何よりだ。他にも色々残してきたやつはいるが……仕方ないだろう。


朝食を食べ終え、学校に行く。そういえば学校もこんなにほぼ全ての子供が通えるなんてなかなかないものだな。授業内容は俺たちは知っているものも多いが、それでもためになるものも沢山ある。

綾と戸締まりの確認をし、家を出た。




「おはようございます!!」


「ちょ、聞いて! 今日社先輩と神楽先輩に挨拶できた!!!」


「え、うらやま。いいなー。私も話してみたい」


朝から騒がしい。はじめの頃は美人も3日で飽きるという言葉を思い出してすぐに収まるかと思っていたが予想外に長引いている。しかも進級した今、後輩が入ってきて余計に増えた。正直面倒くさいが、国王であったときよりは断然マシだと切り替えている。


「凛人ー、いつも思うけどそのキャラ疲れないの?」


王子様。綾や翔平によく言われる。

疲れるよ。疲れるが、


「まあ、色々と便利だからな」


この一言に尽きる。

今までの人世で学んできたものは多い。無闇に自分の感情を出さない方がいいだとか、相手はとりあえず立てるところから始めるとうまくいくことが多いとか。その結果獲得したのがこのキャラだ。

綾やそれなりに仲良くなった者の前ではしないけどな。



「はよ。お前ら朝からモテモテだな」


田中翔平。

一言でいえばいいやつ。


「そうでしょー。凛人隣りにいるといつのこうなるのよ。私の人権わい」


その言葉にじっと綾をみる。翔平もだ。

綾は自覚がないんだ。自分もモテているということに。

あいつは昔からそうだからな。


「そういや、翔平。今日もよろしく頼むぞ。部活ないんだろ? 放課後すぐな」



いつもの後始末の手伝いだ。翔平は意外に手際が良くて使え……助かっている。こうして手伝ってもらうこともちょくちょく。


「はあ!? 俺の部活休暇日……。まあいいけどよ……」


な、いいやつだろ。


「じゃあ俺らは屋上で時間つぶしてっから。翔平も来る?」


「やめとく。俺まだ数学の課題終わってないんだわ。てか今のところ何してるか分からん」


「じゃあ今日の後片付け終わったら教えてやろうか?」


マジで!? と言って教室に飛んでいった。それくらいはしてやらないと流石にやってもらいっぱなしも悪い。

いつものように屋上へ行く。ここは何故か誰も来ないから静かだ。予鈴がなるまで寝させてもらうことにした。


これが俺、社凛人の日常だ。


ティアラについて詳しく知りたい方は短編"何度も一緒に転生している人と〜"をご覧ください。この話もまたこの連載に入れようと思っています。

時間軸的には短編のほうが先です。

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