表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何故かバレた  作者: 小雅 たかみ
8/16

第8話

「右京さん。最近、体の調子が良くなっていませんか?」


ヒーラーのゆきが、まるで病院の先生?看護師?のように言った。

心当たりの無い右京が首をかしげていると、ゆきは寂しそうに笑った。


「フフッ。癖が抜けただけかもしれませんが、無くなるということは現実でも影響が出ていると思いますよ。」


右京には意味が分からなかったが、他の仲間は理解した。


「あぁ、アレか。」


「そういえば、最近やらなくなったわね。」


「やる……?一体、何のことだ?」


「フフッ。以前の右京さんは、走ると必ず『フゥ、フゥ』や『ヒィ、ヒィ』と声が漏れていましたよ?

調べてみたら、余分な脂肪が肺などの内臓にも影響を及ぼすのですね。

それに弾むお肉の重みに引っ張られて、強制的に呼吸音が大きくなったり、漏れてしまうみたいですね。」


ゆきは言葉を選んだつもりだったが、選びきれていなかった。


『現実の右京さんは太っているのでしょ?』


どう捉えても、そう言っていた。


驚きを隠せず、言葉すらも出なかった右京だったが、周りは違う。先ほど理解したように、死体蹴りし始めた。


「走り方も、なんだかとても重そうだものね。」


「足が上がっていないのが原因だろうな。」


「ウキョ。腕を振って、膝ももっと曲げるといいよ!あっ、でも余計疲れちゃう?」


助け船は欠航していた。


「だが、最近は声が漏れなくなったんだ。ということはリアルで改善されてるんじゃないか?」


「ええ。私もそう思いました。もうあの声が聴けないのかと思うと少し寂しいですが、右京さんの体にとっては良いことですからね。」


流れはもう変わらないのかと右京でさえ思った時、事態は思わぬ方向へ進んだ。


「そうだな。しかし、余分な肉が多いと動くのも大変だろうな……」


マックスはすらりとした右京の腹を見ながら、リアルな右京の姿を妄想した。

そして、ふと何かに気づいてしまったマックスは虎の尾を踏んだ。


「ん?余分な肉……?」


マックスはなんともなしに、右京の腹からシャルルの豊満な胸へ、視線を変えてしまった。


「マックスゥゥ!!」


「やっべぇ!」


「何がやばいのか言ってみなさいよ?マックス。ねぇ?ねぇ?ねぇ!?」


「いや、まだ何も言ってない!」


「『まだ』ですって?言いたいことがあるのね?ほら、言ってみなさい!ほら?ほら?ホラァァ~!?」


マックスの失言により、シャルルの説教という名の拷問へと移行し、右京のデブ疑惑はうやむやになった。



おっさん疑惑は頑なに否定する右京だが、デブ疑惑はさほど隠していなかったようで、後日検診を受けた時の数値が軒並み良くなったとウキウキ顔でゆきへ報告していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ