第7話 使命
「こんにちは! 私はモニカだよ!」
「僕はシルヴァ。よろしくね! ほら、ミラくんも」
マーガレットの頭に声が響いた。
「仕方ない。俺はミラジェンだ」
「だ……誰!?」
「こうなると言っているだろ、シルヴァ。ああ、マーガレットとやら俺はシルヴァの背中にある剣だ」
マーガレットは確かにシルヴァの背中にある大剣が気になっていた。なぜこの子供は身の丈に合わない大剣を背負っているのだろうと。喋る武器にも心当たりがあった。それを持っているという事は……。でも、こんな子供が?
「あなたは……。使い手?」
「そうだよ。僕はミラくんの使い手で……」
そこまで話したところでダリオが口をはさんできた。
「ちょっと待て。今そのミラくんはマーガレットと話をしたのか?」
「そうですよー。ミラくんも自己紹介をしました」
「待て待て。何でミラくんとやらは俺とは話さないんだ?」
シルヴァはポカンとしたような表情を見せた後、腕を組んだ。
「あれ? そうだっけ、ミラくん? うんうん。あーなるほど」
シルヴァはダリオの方に向かい直ると、何か言いにくそうにモジモジし始める。
「おい、何だってんだよ」
「えっと、ダリオさんとは話したくないって」
「はあ!? 何でだよ!」
「たまにあるんですよ。意外とミラくんはプライドが高いというか何というか……。話したがらない人がいて」
ダリオは折角マーガレットを買えていい気分だったのが台無しだと思った。怒ろうかとも思ったが、シルヴァの機嫌を損ねるのと何よりマーガレットの前で子供に怒りをぶつける姿を見られたくないと思った。
「あ、あの……。お話、よろしいでしょうか?」
マーガレットが話がひと段落ついたと思ったのか、声をかける。
「何だい? マーガレット」
ダリオが笑顔で振り返る。
「うわー、シルヴァと態度が違う」
モニカがジト目でダリオを見る。
「何だと、だいたいお前は俺の奴隷だろ。何だその態度は」
「あ、ごめんなさーい」
「こいつ……」
モニカとダリオの口喧嘩が始まる。それを見たマーガレットはオロオロと慌てる。
「あ、あの……喧嘩は……」
「そういえばお話って何ですか?」
シルヴァがマーガレットに問いかける。
「あの、止めなくて良いのですか?」
「大丈夫だと思いますよ、ダリオさんも暴力をふるうなんてことはしないと思いますし」
マーガレットはダリオたちの様子が気になるそぶりを見せながらも、シルヴァに話を始めた。
「最近、この近辺で女性がゴーレムに襲われるという事件が多発しているんです」
マーガレットの話が聞こえたのかダリオが口をはさむ
「ゴーレム? デーモンじゃなく?」
「デーモン……? いえ、襲われた方たちの話だと、ゴーレムのはずです」
街中に魔物が出るなんて話はそうそうない。昨日、デーモンになら襲われたからその事かと思ったが……。
「その話なら、アーティさんにも聞いています。何を隠そう、僕がこのリバーサイドに来たのはその魔物を退治するためですから!」