89.魔蟲魔導人形
「ガンマ、ちょいと新しい武器の、試し打ちしないかい?」
教練室にて。
リヒター隊長から新しい武器、【錬金武装ヴィクター・シリーズ】をもらった。
隊員のひとり、銃使いのオスカーが俺に尋ねてくる。
試し打ち、か。
「模擬戦ってことか?」
「そうそう。せっかくの新しい相棒だ。使ってみたいでしょ?」
まあ気持ちはわかる。
新しい装備を、早く試したいってやつはな。
「でもこれ、魔蟲族用の武器だろ? 対人でやると死ぬぞ」
「ガンマ君の言うとおりですよぉ。なので、練習用の魔導人形を用意しました」
ぱちん、とリヒター隊長が指を鳴らす。
床に魔法陣が浮かび、そこから魔導人形が出現する……。
「って、これ、魔蟲族じゃないか?」
普通の魔導人形は、人型サイズの、鎧を着た騎士ってみためだった。
しかし新しい魔導人形は、明らかに魔蟲族のそれだ。
小さくした黒いカブトムシの魔蟲族……って。
「これもヴィクターじゃねえか」
「そのとおり。ヴィクターの外皮を錬金加工して作った、おニューの魔導人形。その名も魔蟲魔導人形verヴィクターですぅ」
ぽんぽん、とリヒターが魔蟲魔導人形の肩を叩く。
武器といい魔導人形といい、めっちゃ活用されてるな、ヴィクターのパーツ……。
「当然ですよ。あの護衛軍のヴィクターは強かった。ガンマ君が刺し違える覚悟じゃなかったら、勝てなかった」
リヒター隊長が真面目な顔で言う。
「次また、君一人を犠牲にするようなことがあっちゃいけないんです。我々は強くなり続けなきゃいけない。そのためになら……何でも使いますよ。ええ、なんでも……」
隊長が、なんだか思い詰めた表情をしていた。
それは自分に何かを言い聞かせるようであり……悲壮なる覚悟を、うちに秘めてるようだった。
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