83.おっさんの独白
マリクはガンマの寮のベランダでたばこを吹かしていた。
「しかし……ガンマとメイベルがねえ……」
胡桃隊のなかで、ガンマが一番、女からモテてるのは事実。
しかし当の本人は恋愛ごとに対して興味関心が無いのか、女性側のアプローチに対して、なにも反応を示してこなかった。
しかし、ここに来て浮上した、メイベルとの恋愛フラグ。
「こいつぁ……ビッグイベントだな」
しっかりと、それでいてさりげなく、彼らの恋愛を支えてあげようと思った。
特に、ガンマ。
彼は今までとても苦労してきたし、これからも……苦労するのは目に見えている。
「…………」
マリクだけは知っている。
超巨大毒蛾を倒す際……ガンマが見せた体の変化。
左腕が、硬質化して、人外のパワーを発揮した。
あれそう、まるで魔蟲族そのものだった。
「リヒターのやつも、ガンマはやばいって言ってたし……確かに目の前であれをやられちゃ、な」
マリクはガンマが、このまま進むと取り返しがつかない場所へ行ってしまうのではないかと考えた。
だから、彼が帰ってこられる場所が必要なのだ。
もちろん、自分が作るこの部隊が、彼の第二の故郷になるようにっていうのはもちろん。
それだけでなく、彼が帰ってこれる……止まり木を、きちんと作ってあげたい。
「よし……じゃあおっさん、がんばちゃうぞ。あの二人を、どーにかこーにか、くっつけてやるかぁ」