81.生誕祭
怪我から快復した俺を、寮で待っていたのは、マリク隊長とオスカーだった。
快気祝いということで、酒や食べ物を持って俺んちにきていたらしい。
……なんか、うれしい。
前のパーティじゃ、お祝い事なんてほとんどなかったし。
俺のこと復活を喜んでくれている。
俺のことを、気にかけてくれてる人たちがいるのって、ほんと、うれしい。
酒が進んで、ついつい、余計なことまで言ってしまった。
「「メイベルとデートだとぉおおおおおおおおおお!?」」
気分が良くなってしまった俺は、ついうっかりしゃべってしまったのだ。
メイベルと今度、二人きりで出掛けると。
「なんだいなんだい! ボクのいないとこでそんなアオハルなことになってるとは!」
「おメットさーん! いえーい!」
マリク隊長はだいぶ酔ってるらしく、床に寝っ転がりながら言う。
こんなときでもサングラスはとれないんだな……。
「で、どこにデートいくんだ?」
「まだ決めてないんですが……いかんせ帝国って初めてでして。どこか良いところ知りませんか?」
ふむ、と少し考えた後、マリク隊長が提案する。
「【賢帝生誕祭】にいくのはどうだ?」
「けんてい、せいたんさい?」
「ああ。我らが皇帝陛下の誕生を祝う祭りだ。帝都にめちゃくちゃひときて、すげえ盛り上がるんだよ」
なるほど……祭りか。
なら、メイベルも楽しんでもらえそうだ。
「そうですね、参加してみます」