79.休日のデートの約束
俺が故郷、人外魔境で激闘を繰り広げてから、しばらく経ったある日のこと。
「いっちにっち……っと」
場所は帝都大学病院の屋上。
俺はここに、そこそこ長い間入院していた。
前回、人外魔境で剛剣のヴィクター、そして超巨大毒蛾とのバトルで、体に深いダメージを負ったからだ。
しかしそれも、しっかりと休養を取ったことで完治。
以前と同じで動けるようになるまでに、快復したわけだ。
「ガンマー」
入り口から顔を出したのは、俺の級友メイベル。
ショートカットの髪の毛に、明るい笑みが特徴的な少女だ。
「お、おう……」
……つい先日から、メイベルを見るとなんだか胸がドキドキしてしまう。
目があうと、さっとそらしてしまうんだよな……。
「お、おっす……」
それは向こうも同じなのか、メイベルもせわしなく視線を動かす。
「げ、元気? お見舞いにきたんだけど」
「あ、ああ。今日退院」
「そ、そっか……えへへ、良かったじゃん」
にぱっ、とメイベルが明るい笑みを浮かべる。
俺が快復して、良かったと心から思ってくれてるようだ。
その笑みに、俺は癒やされる。
そういえば追放されて気落ちしていた俺を、慰めてくれたのも、彼女の笑顔だったな。
……なんだか彼女にはいつも迷惑かけっぱなしだ。
前回の戦いでも、彼女が援軍を送ってくれなかったら終わっていたし。
なにか、してあげたい。
「なあメイベル。今度出かけないか」
「ほ……!?」
顔を真っ赤にして、びっくーんと体をこわばらせるメイベル。
ぱくぱくと口を開閉するのがなんだか面白い。
「ほ、ほんきか貴様……?」
「貴様って……ああ、本気だよ」
「そ、それ、それはその……な、何割のデレが?」
「は? なんだよ……出かけたくないの?」
「ううん! そんなことないよ! すっごくうれしい!」
そっか、そう言ってもらえてうれしいよ。
「そっかー……えへへ♡ ガンマからデート誘ってくれるなんて~♡」
「え……?」
あ、あれ……?
これ、で、デート……なのか?
いや、待てよ。
男が女と、二人きりで出かけるのは……。
で、デートだ(驚愕)