76.二章エピローグ
帝都大学の病室にて。
メイベルと、なんだか気恥ずかしくなるようなやりとりをしていると……。
「…………」
「「うぉおおおお!」」
ベッドの下からぬぅっ、と俺の妹、フェリサが顔を覗かせた!
えっ!? なっ、んで……!? てか、やべっ!
気づけば俺はメイベルと距離を開けていた。
カノジョもなんだか大げさに距離を取っている。
顔を赤くして、パタパタと手で顔を仰いでいた。
あ、あいつも照れてたのか……。
てことは……。
ぱち、と俺たちの視線が合う。
メイベルは照れくさそうにはにかむと、小さくうなずいた。
それって……。
「…………」ぎゅぅうう~~~~。
「ふぇ、ふぇりふぁ……いふぁい……」
ベッドの上までいつの間にか移動していたフェリサが、俺の頬を引っ張ってきたのだ。
なまじパワーがあるので、すんごい痛い。
『兄さんたちがいちゃついてるから、フェリサ姐さん怒ってんやなー!』
「おまえ……リコリスじゃないか」
人外魔境の森で出会った、妖精のリコリス。
フェリサの頭の上に乗って足を組んでいた。
いや……なんで? フェリサとリコリスが?
「あれ? フェリサちゃん。それって……軍服?」
「…………」こくん。
ほんとだ。女性軍人が着ている、帝国式の軍服にフェリサが袖を通していたのだ。
ここに妹が居ること、そして、軍服を着ていること。これから導かれるのは……。
「おまえ……軍に入ったのか?」
「…………」こくん。
『わいもー。マリクはんの許可はとっとるでー』
この妖精までも?
しかも、隊長からの許しまででてるだって?
「フェリサちゃん。どうして軍に入ったの?」
「…………」
じっ、とフェリサがメイベルを見つめる。
その目は……なんだか、敵を見るような目をしていた。
よじよじとフェリサが俺に近づいてきて、頬に……。
チュッ……。
「おまえ……何してるんだよ?」
「…………」むぎゅー!
フェリサがまた強く抱きしめてくる。
痛い痛い痛い痛い……!
「ふぇ、フェリサ……中身出るからやめて……」
しかしキスか。まあいきなりだったが、まあ別に驚きはしないな。
小さい頃はよく、キスしてきたし。
『いや兄さん、それ昔の話やんな』
「そういやおまえ、心読めるんだったな」
『せやで! だから、フェリサ姐さんの翻訳係にもなるし! しかも、敵側に捕まっていたときもあったさかいな、お役に立てると思うでー!』
……なるほど。
隊長は、フェリサの戦闘力、リコリスの情報と妖精としての力を見込んで、胡桃隊にスカウトしたわけか。
フェリサが軍に入った動機は、まだわからないが……。
まあ、頼もしいことは確かだ。
「よろしく、フェリサ。それに、リコリスも」
『よろしゅーな!』
フェリサは俺を見上げてにこりと笑って……本当に小さな声で言う。
「………………………………よろしく、兄さん。大好き♡」
【★お知らせ】
これにて第2章は完結となります!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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