表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/242

72.最高傑作



 ガンマが新兵器で、超巨大毒蛾を消滅させた……一方。

 その様子を遠くの丘から眺める、一人の男がいた。


「ふふ……面白い。実に、面白いよガンマ君」


 リヒターの兄、ジョージ・ジョカリ。

 人外魔境の丘から、彼はガンマの狙撃を目撃していた。


「魔蟲弓と一体化しての一撃……。あれはまさしく、魔蟲族のそれだった。やはり私の目に狂いはなかった。ガンマ・スナイプ。彼こそが、私の求める理想の【最強種】の姿……!」


 思い人に恋い焦がれる乙女のように、ジョージは自分の体を抱きしめる。


「あれが自然にできたとしたら、相当の奇跡だ……。が、私はそうは思わない。あれは作られるべくして作られた、生物兵器。つまり、あれを計画した人物がよそにいるはず……」


 表情を一転させ、悔しそうに歯がみする。


「私の理想を実現させた科学者がよそにいたってことか……実に気に食わないね。しかし……今はまだ、未完の傑作。完結させない作品なんて意味が無い」


 ジョージは笑う。


「私が完成させて見せよう。ガンマ・スナイプ。君という最高傑作を! この手で! 何を犠牲にしても、何を裏切ってでも!」


 もはや魔蟲族側に与する理由はないのだが、しかし兵器を進化させるため必要なのは強敵。

 人は、争いの中で進化し続けてきた。


 種は、厳しい生存競争の中に、新たなる種族を生み出してきた。


「せいぜい利用させてもらうよ、魔蟲族。私の傑作ガンマくんを作り上げるための、最高の当て馬としてね」


 ジョージは高笑いしながらその場を後にする。

 すでに彼の中では、ガンマをいかに強く育てるかということしかないらしい。


 彼を最後まで心配していた不出来な妹のことなど……もうすっかり忘れているようであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ